犬の帰巣本能って本当にあるの?帰巣本能がある犬の特徴や注意点など。
本記事のご紹介(by ハピわん!)
犬について俗によく言われることの一つ「犬には帰巣本能がある」。
果たして、本当に犬には帰巣本能があるのものでしょうか?そしてそれは、生まれつきどんな犬にでも備わっているのでしょうか?
何もしなくても、帰巣本能を発揮できる??
答えを言うとすべて「No」です。
本稿ではそういった部分について詳しくまとめています。
犬は生まれつきに「帰巣本能」があるのか?
犬は生まれつき、「家」という場所に対する認識を持つようになっており、その場所に戻るための方向感覚を身に付けていると考えられています。また、犬はその鼻の良さから飼い主の匂いを学習し、その匂いを手がかりにして家までの道筋を辿ることができるのです。
これらの能力を、いわゆる犬の帰巣本能と呼ばれているのが現状です。帰巣本能は生後間もない時期から飼い主との絆を強めるために必要な能力で、そのうえで飼い主と離れたときに家に戻れるようになります。犬は飼い主の家に戻ることで安心感を得られるので、帰巣本能は犬にとって非常に重要な能力なのです。
しかし、すべての犬種が同等の帰巣本能を持っているわけではなく、例えば狩猟犬の種は飼い主から離れることに慣れているので帰巣本能はあまり発達していません。一方で、飼い主に依存する性質の強い犬種ほど、帰巣本能は発達しているといえます。
帰巣本能の発達には、飼い主からの愛情や餌付けなどの経験が大切な役割を果たします。飼い主の存在が犬にとって極めて重要であり、安心できる場所であることを実感できるように育てることが、帰巣本能を高める上で最も重要なのです。
また、上記で述べたように、全ての犬が帰巣本能を備わることに向いているわけではなく、そして、帰巣本能が比較的に発達している犬でも、育つ上でいろいろな条件を満たして初めて身につくのです。
帰巣本能が強い犬が持つ傾向
帰巣本能が発達した犬は、次のような特徴を持つといわれています。
・飼い主から離れるのが苦手で、なるべく飼い主のそばを離れない傾向がある。
・飼い主と離れると不安になりやすく、飼い主の帰りを楽しみにしている。
・飼い主が外出した際、飼い主が戻ってくる場所で飼い主の帰りを待っている。
・飼い主との絆が強く、飼い主に過度に依存的になりがちである。
・散歩中などで道に迷った場合でも、自宅の方向を意識しながら進むことができる。
・散歩など外に出かけた際、自宅の近くまで来ると、自宅のほうに向かって走りはじめる。
・飼い主の声を聞いただけで、飼い主の元に駆け寄る。
なお、帰巣本能が強い犬は、飼い主から離れるストレスを抱えやすくなるため、飼い主はできるだけ犬を一人にしないように心がける必要があります。また、飼い主のいない時間を楽しめるように、犬に対して飼い主以外の人や物にも安心感を抱けるように社会性を育んであげる必要があります。
帰巣本能は生まれつきの能力ですが、その発達度は飼い主の飼育方法によって左右されます。飼い主の存在を犬にとって最も大切なものと感じられるように飼育することで、帰巣本能は一層強くなっていきます。
しかしながら、過度に依存的にならないよう、他の人や他の犬とも楽しく過ごせる社会性も同時に育てることが大切です。
帰巣本能の強い犬を飼うためには、次の点に注意する必要があります。
・飼い主が外出する際は、事前に十分な運動とストレス解消を図れるようにする。
・他の家族や知人にも餌付けや遊ぶ機会を持たせ、安心できる存在として認識させる。
・飼い主が不在の際でも楽しみを持てるよう、一人遊びができるおもちゃを用意する。
・飼い主の帰りを待っている際には、落ち着いて待てるように指示できる状態にする。
・飼い主との間に適度な距離を持たせるために、飼い主から離れて過ごす機会をつくる。
・他の人や他の犬との交流を増やし、社会性を高める。
帰巣本能は、犬と飼い主の絆を強くする上で重要な能力ですが、過度に依存してしまうことのないよう、バランスの取れた飼育が必要不可欠です。
飼い主の存在は、犬にとって唯一無二の大切なものである一方で、飼い主以外の人や他の犬とも楽しく過ごせる社会性を持つことが、心の健全な犬を育てるためにはとても重要なのです。
帰巣本能が高い犬種、低い犬種っているの?
前述の通り、帰巣本能が強い犬はすなわち、飼い主に依存しやすい特質を持つ犬ということになります。
飼い主に強く依存する性質の犬種は、コーギー、シーズー、ラブラドールなどが挙げられます。これらの犬種は飼い主との絆が強く、飼い主から離れるのが苦手な性質があります。
一方で、狩猟犬の種であるポインター、セター、スパニエルなどは、飼い主から離れることに慣れているため帰巣本能は比較的弱いといえます。
帰巣本能が高い犬種は、飼い主に対して強い依存性を持っています。
飼い主から離れるのが苦手で、飼い主のそばを離れたがることが少なく、飼い主の帰りを楽しみにします。飼い主が外出した際には、同じ場所でひたすら飼い主の帰りを待つことが多く、飼い主との絆が強いために飼い主に過度に依存してしまいがちです。
このような特質を持つ犬種は、飼い主が不在の時にストレスを抱えやすくなります。飼い主はできるだけ長時間犬を一人にしないようにし、飼い主が外出する際には運動やおもちゃでストレスを解消できるようにする必要があります。また、飼い主以外の人にも安心感を抱けるように社会性を育むことが大切です。
帰巣本能の高い代表的な犬種を紹介します。
・コーギー:飼い主に対する依存度が高く、飼い主から離れたがることがほとんどありません。飼い主の帰りを楽しみにし、飼い主のそばを離れたがらない性格です。
・シーズー:飼い主への信頼度が高く、飼い主から離れるのが苦手な性格です。飼い主の帰りを楽しみに待っている時間が長く、飼い主との絆が強い犬種です。
・ラブラドール:優しくて温和な性格で、飼い主に対する依存度が高い犬種です。飼い主が家を離れると不安になりやすく、飼い主の帰りを楽しみに待っています。
・マルチーズ:飼い主を信頼する性格が強く、飼い主から離れたがることはほとんどありません。飼い主のそばを離れるのが苦手で、飼い主の帰りを楽しみに待っている時間が長い犬種です。
・キング・チャールズ・スパニエル:優しくて温和な性格で、飼い主に対する依存度が高く、飼い主から離れるのが苦手です。飼い主の帰りを待っている時間が長く、飼い主との信頼関係が強い犬種です。
一方、上記で少し触れました狩猟犬の分類になるポインター、セター、スパニエルなどは、飼い主から離れることに慣れているため帰巣本能は比較的弱いといえます。これらの犬種は狩猟を行う際に飼い主から離れて働くことに慣れているため、飼い主から離れることにストレスを抱えにくく、飼い主の帰りを待つ時間はそれほど長くありません。
帰巣本能の強さは、犬種の性質に大きく左右されますが、飼い主による飼育方法も帰巣本能の発達度に影響を及ぼします。
飼い主の存在を犬にとって最も大切なものと感じられるように飼育するほど、帰巣本能は強くなっていきます。適度な飼い主への依存を育む一方で、他の人や他の犬とも楽しく過ごせる社会性を同時に育てることが、バランスの取れた成長を促すためには重要です。
いかがでしたでしょうか。
最後に付け加えになりますが、犬の帰巣本能は犬種によっても生まれながらの向き不向きがありますが、そういった犬種でも、普段の生活の状況や訓練されているかどうか、といった要素を満たした上で、帰巣本能を備わることになります。
最初から帰巣本能を発揮できる、放っておいても発揮できる犬はごく稀なのです。