【普段は物静か、でも走り出したらすごいやつ。ロシアのオオカミ狩りボルゾイ】

ボルゾイの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ボルゾイ
[英記]:Borzoi

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 大型犬
  • ・体高:67cm~75cm
  • ・体重:30kg~45kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ボルゾイは、原産国ロシアの犬種です。
    オオカミ狩りで大変活躍した犬種で『ロシアン・ウルフハウンド』という別名も持っており、 古くから貴族の間で狩猟犬として飼われてきました。

    ボルゾイの起源としては諸説存在し、オオカミから人間を護衛する役目の犬として作り出され、 スルーギという足の速い犬種をベースとして、ロシアの地犬(牧羊犬)やサルーキ、 グレイハウンドがかけ合されているとも言われています。

    13世紀のロシアではスポーツとしての狩猟犬によるウサギ狩り、 15,16世紀にはオオカミ狩りがそれぞれ盛んに行われており、 その狩猟犬としてボルゾイ(ロシアン・ウルフハウンド)は非常にメジャーな狩猟犬のハウンド系の犬種に ベア・ハウンド、ロシアン・シープドッグ(オウチャー)等をかけ合わせて改良されてきました。
    ボルゾイは非常に足が速く、オオカミよりも早いと言われています。
    時速にして、50km/hほどのスピードも出るとも言われています。
    狩りのチームとしては、最終的にオオカミを脚で踏んで押さえつけるボルゾイと、 まず嗅覚を頼みに追跡をする役目のセントハウンド(嗅覚獣猟犬)とセットで、 猟師と一緒になって同行することが多かったようです。

    実はボルゾイは、17世紀以降の記録しかはっきりしておらず、この頃に7種類存在したボルゾイのうちの一つ、 ニコライ・ニコラエヴィチ大公が飼育していた『パキーノ』という 種類の当時のボルゾイが現在の形に最も近いとされています(後に、アメリカに渡った種類がこのパキーノとなる)。
    その後、ロシア王室を通じていろいろな国に献上されるようになり、アメリカにも渡りました。

    一方、ロシアでは、1917年のロシア革命をきっかけとする貴族社会の崩壊の影響で多くのボルゾイ (ロシアン・ウルフハウンド)が処分されてしまい、一時期は絶滅の危機にまで瀕しました。

    そして、アメリカでは20世紀初頭にはジーン・ハーロウやサラ・ベルナールという、 無声映画の俳優に飼われるなど、ステータス的なシンボルになり、高い評価を受けた犬種として人気がありました。
    現在では、アメリカ国内での数はかなり少なくなったものの、 主にショードッグやドッグスポーツの世界で活躍しています。

    尚、1936年に「ロシアン・ウルフハウンド」から、ロシア語で『俊敏』を意味する 「ボルゾイ(Borzoi)」に犬種名が変更されました。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・物静かな性格の犬が好み
    ・しつけは初心者向きでないがしっかりやれる
    ・運動量は多くてもとことん付き合える
    ・全力で走り回れるような環境を用意できる
    ・ドッグレースやルアー・コーシングのような競技も考えたい
ボルゾイのメイン写真 ボルゾイの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ボルゾイはロシア原産の視覚ハウンドであり、もともとはオオカミを狩るために作出された犬種です。そのため、自立心が強く、命令に従うことよりも自分の判断で行動する傾向があります。こうした特性は、従順さを重んじる犬種に比べると、しつけのしやすさという面ではやや難易度が高いといえます。初心者が「コマンドをすぐ覚えて、常に従ってくれる犬」をイメージすると、ボルゾイは予想に反して扱いにくさを感じるかもしれません。

しかし、ボルゾイは決して学習能力が低いわけではありません。むしろ頭脳明晰で、観察力に優れた犬です。問題は「指示を聞くことにどれほど意義を感じるか」というモチベーションの部分にあります。彼らは独立心旺盛でプライドが高いため、強制的なしつけや過度な命令口調には反発することがあります。叱責や威圧を伴う方法では逆効果となり、飼い主との信頼関係にひびが入ってしまうのです。

そのため、ボルゾイのしつけにおいて重要なのは「信頼関係の構築」と「動機付け」です。まず、飼い主が穏やかで一貫性のある態度を保ち、犬が安心して指示を受け入れられる環境を整えることが第一歩となります。そして、学習意欲を高めるためには、報酬を効果的に用いることが効果的です。フードやおやつだけでなく、遊びや撫でることなど、その犬にとって嬉しいと感じるものを理解し、それをしつけの場面で取り入れることで学習効率が高まります。

また、ボルゾイは狩猟犬として「動くものを追う」という本能が強いため、注意力が散漫になりやすいという面も持ちます。例えば散歩中に小動物を見かけると、指示を無視して一瞬で追いかけてしまうことがあります。したがって、幼少期からリードの扱いや呼び戻し訓練を徹底しておくことは必須です。呼び戻しは特に難しい課題ですが、これを身につけさせるかどうかで、安全面に大きな差が出ます。

さらに、しつけを行う際は「短時間・集中型」のトレーニングが適しています。長時間にわたる単調な練習は退屈さを感じさせ、やる気を失わせてしまいます。5〜10分程度のセッションを1日に数回取り入れる方が効果的です。また、視覚ハウンド特有の「自分で考えて動く習性」を尊重し、完全な服従ではなく「飼い主と協力する」形を目指すことが理想です。つまり、服従心を求めすぎるのではなく、共に生活を楽しむパートナーとしての関係を築くことが、ボルゾイのしつけ成功につながります。

総合的に言えば、ボルゾイのしつけは「難しいがやりがいがある」と表現できます。従順さを第一に求めるなら他の犬種に軍配が上がりますが、ボルゾイと向き合い、時間をかけて信頼を育むことで得られる絆は非常に深いものになります。気品ある姿と独自の気質を持つこの犬種ならではの個性を理解し、忍耐強く、柔軟な発想でしつけを進めることが何より大切です。

気性の穏やかさ・性格

ボルゾイは、その優雅でしなやかな外見から想像されるように、性格面でも非常に落ち着いた一面を持つ犬種です。一般的に視覚ハウンドは繊細で敏感な気質を備えていますが、ボルゾイはその中でも特に「穏やかで静かな気質」と「強い独立心」という二つの要素をあわせ持っています。家庭での姿と、狩猟犬としての本能が表れる場面とで大きなギャップがあることも、飼い主にとって印象深い特徴となります。

家庭内でのボルゾイは、非常に落ち着いていて騒がしさが少なく、無駄吠えもほとんどしないことで知られています。来客に対しても吠え立てることはあまりなく、むしろ静かに観察しながら距離を取る傾向が強いです。このため、集合住宅や静かな環境で暮らす人にとっては大きな魅力となります。ただし「番犬」としての能力は低く、侵入者を追い払うような積極的な防衛本能は期待できません。そのため、番犬性を求める飼い主には不向きです。

性格の根幹にあるのは「穏やかな優雅さ」と「誇り高さ」です。ボルゾイは人にべったりと甘えるタイプではなく、一定の距離感を大切にします。とはいえ、飼い主に対して冷淡というわけではなく、信頼した相手には深い愛情を示します。飼い主が座っていると静かに傍らに寄り添い、目で気持ちを伝えるような控えめな愛情表現が多いのです。こうした振る舞いから「猫のような犬」と形容されることも少なくありません。

一方で、外に出て刺激を受けると、その狩猟本能が表面化します。特に小動物や走る対象を見つけると、一瞬でスイッチが入り、普段の落ち着いた性格からは想像できない俊敏な動きを見せます。これがボルゾイの「二面性」であり、家庭では優雅で大人しい存在でありながら、外では鋭敏で活発なハンターに変わるのです。このギャップを理解せずに「穏やかだからリードはいらないだろう」と油断すると事故につながる危険があります。性格の穏やかさと本能的な衝動は別物であることを念頭に置く必要があります。

また、ボルゾイは独立心が強いため、飼い主の指示に対して必ずしも従うわけではありません。これは頑固さともとらえられますが、実際には「自分の判断を尊重してほしい」という気質の現れです。したがって、命令一辺倒の関わり方では相性が悪く、互いを尊重する関係性を築くことで、初めてその優しさと忠誠心が発揮されます。この点で、精神的な成熟を求められる犬種といえるでしょう。

性格のもう一つの特徴として、感受性の高さが挙げられます。飼い主の声のトーンや雰囲気を敏感に察知し、怒鳴り声や不安定な態度に強いストレスを感じることがあります。逆に、落ち着いた口調で優しく接すれば安心して行動できるようになり、より穏やかな面を見せてくれます。つまり、飼い主の人間性や態度が、そのままボルゾイの性格表現に反映されるのです。

総じて言えば、ボルゾイの性格は「優雅で穏やか、かつ誇り高い」とまとめられます。決して従順一辺倒ではなく、独自の感性と判断力を持ちながら、信頼できる飼い主には静かな愛情を注ぐ存在です。家庭の中では落ち着いた同居者として過ごしつつ、外では俊敏なハンターとしての本能を垣間見せる。その二面性を理解し、尊重できる人にとって、ボルゾイはかけがえのないパートナーとなるでしょう。

病気・けがへの強さ・寿命

ボルゾイは大型犬に分類される犬種であり、優雅でしなやかな体型を持つ一方、健康面では特有のリスクや注意点が存在します。見た目が非常に健康的で力強い印象を与えるものの、実際にはいくつかの遺伝的疾患や体質上の弱点が報告されているため、長く健やかに暮らしてもらうためには十分な理解とケアが必要です。

まず寿命についてですが、ボルゾイの平均寿命は一般的に7年から10年程度とされています。ただし、これは大型犬全般に共通する特徴で、小型犬よりも寿命が短い傾向があるためです。しかし、近年では食事管理や医療技術の向上により、12歳前後まで生きる個体も増えてきています。飼い方次第ではより長く健康に過ごせる可能性もあるため、日常のケアが寿命を大きく左右します。

病気に関しては、まず「胃拡張・胃捻転症候群」が代表的なリスクです。胸が深く細長い体型を持つ犬種に多く見られる病気で、胃にガスが溜まり、急激に膨張して捻じれることで命に関わる重篤な状態を引き起こします。発症すると数時間以内に適切な処置を行わなければ危険であり、食後すぐの激しい運動や早食いは特に避ける必要があります。食事は小分けにして与えること、食後は安静にさせることが重要な予防策です。

次に多いのが「骨肉腫」などの骨関連の病気です。ボルゾイは長い脚を持つため、関節や骨に負担がかかりやすい構造をしています。特に成長期に過度な運動をさせると関節に悪影響を及ぼすことがあり、股関節形成不全や関節炎といった疾患のリスクが高まります。そのため、幼少期から成犬にかけては運動量を調整し、関節に優しい床材や環境を整えることが肝心です。

また、視覚ハウンド全般に多い特徴として「心疾患」が挙げられます。拡張型心筋症など、心臓の働きに影響を及ぼす病気が発症することがあるため、定期的な健康診断で心音や心電図をチェックすることが推奨されます。特に年齢を重ねると心臓への負担が増えるため、シニア期には注意が必要です。

皮膚や被毛のトラブルは比較的少ない犬種ですが、ボルゾイは皮下脂肪が薄いため、体をぶつけたり転倒したりすると打撲やけがを負いやすい傾向があります。また、寒さには比較的強い一方で、暑さには弱い体質です。夏場は熱中症のリスクが高いため、日中の散歩を避け、涼しい時間帯に運動させることが重要です。

さらに、薬に対して敏感な体質を持つ個体も報告されています。特に麻酔薬や一部の薬剤に対して代謝が遅れることがあり、他犬種に比べて副作用が強く出る場合があります。そのため、手術や投薬が必要な際は、犬種特有の体質を理解している獣医師に相談することが望ましいです。

健康を保つための基本的なケアとしては、バランスの取れた食事と適度な運動、そして定期的な健康診断が不可欠です。大型犬は老化の進行が早いため、若い頃からの健康管理がその後の寿命に直結します。特に胃捻転や心疾患などは突然発症することがあるため、異変を見逃さない観察力も飼い主に求められます。

総じて言えば、ボルゾイはその気品ある外見に反して繊細な部分を持つ犬種です。骨格や消化器、心臓といった体の弱点を理解し、予防的な生活習慣を整えてあげることが長寿の秘訣となります。日常の何気ない工夫が、彼らにとっては大きな健康の支えとなり、結果として一緒に過ごせる時間を長くすることにつながるのです。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ボルゾイはその優雅で落ち着いた気質から、家庭内での同居相手との関係にも特徴的な傾向を示します。他犬や子どもとの相性は、個体差や育て方によって大きく変わりますが、犬種としての基本的な性格を理解することで、より安全かつ円滑に共生できる環境を整えることができます。

まず他の犬との関係についてですが、ボルゾイは基本的に攻撃的な犬種ではありません。無用に喧嘩を仕掛けることは少なく、むしろ静かに距離を取る傾向が強いです。特に同じく落ち着いた犬や、穏やかな性格の犬とは比較的良好に暮らすことができます。しかし一方で、相手の犬がしつこく絡んできたり、攻撃的な態度を見せたりすると、ボルゾイは不快感を示し、時には防御的に強く出ることもあります。体格が大きいため、一度争いになれば相手に大きなダメージを与えてしまう可能性があるので注意が必要です。

また、視覚ハウンドとしての本能が影響し、小型犬や動きの素早い犬に対しては「獲物」として認識してしまう場合があります。特に未訓練の若いボルゾイでは、追いかける行動が出やすいため、初対面の小型犬との接触は慎重に行うべきです。ただし、幼少期から多様な犬と接し、社会化がしっかり行われていれば、同居犬とのトラブルは少なくなります。特に同じくらいの体格で落ち着いた性格の犬との相性は比較的良好です。

次に子どもとの関係についてですが、ボルゾイは基本的に穏やかで落ち着いた性格を持つため、年齢の高い子どもや、犬に対して適切に接することができる子どもとは比較的うまく共存できます。特に大人しい子どもに対しては、優雅に寄り添い、静かに関わる様子が見られることもあります。

しかし、注意すべきは幼い子どもや活発すぎる子どもとの接し方です。ボルゾイは強い忍耐力を持つ犬種ではありますが、過度にしつこく抱きつかれたり、乱暴に扱われたりするとストレスを感じやすく、場合によっては防御反応として突発的に行動する危険もあります。また、体が大きいため、遊んでいる最中に誤って子どもを倒してしまうことも考えられます。したがって、子どもと一緒に暮らす場合は、必ず大人がそばで監督し、犬と子ども双方が安心できる距離感を保つことが重要です。

さらに、ボルゾイは自己主張を強くするタイプではなく、嫌なことをされても黙って我慢する傾向があります。この「我慢強さ」が誤解を招くことがあります。子どもが無遠慮に接していても、声を出さずに耐えてしまい、限界を超えた時に突発的な反応が出るというケースがあるのです。飼い主はそのサインを見逃さないように観察し、犬の負担にならないよう配慮する必要があります。

多頭飼育においては、同じ視覚ハウンドや、気質の近い大型犬と相性が良いとされます。特に同じボルゾイ同士であれば、似たようなテンポで生活できるため、比較的平和な同居が可能です。ただし、食事やお気に入りの場所を巡る小さなトラブルは避けられないため、飼い主が公平に管理することが不可欠です。

総じて、ボルゾイは「穏やかさと優雅さを備えた同居者」ではあるものの、その大きな体格と繊細な気質から、子どもや小型犬との同居には細心の注意が必要です。適切な社会化を施し、犬に無理をさせない環境を整えれば、落ち着いた家庭犬として他の犬や子どもと調和して暮らすことができます。ボルゾイにとって安心できる空間と尊重のある関係性を築くことが、同居生活を成功させる鍵となるのです。

運動量の多さ

ボルゾイはロシアの広大な平原で獲物を追うために生み出された視覚ハウンドです。その体型や身体能力は「走るため」に最適化されており、長い脚、しなやかな筋肉、そして優れた持久力と瞬発力を兼ね備えています。こうした背景から、運動に対する欲求は高く、適切に満たしてあげることが健康と精神の安定に直結します。

まず、ボルゾイの運動欲求を理解する上で重要なのは「日常生活での落ち着き」と「外での爆発的なエネルギー」の二面性です。家庭内では非常に静かで、ほとんど動かずに一日の大半を寝て過ごすことも珍しくありません。しかし、一度外に出ればその姿は一変し、持ち前のスピードと狩猟本能を発揮します。特に広い場所で自由に走れる機会を与えると、そのしなやかな走りで全力疾走を楽しみます。

散歩に関しては、1日2回、各1時間程度の運動が理想とされます。ただ歩くだけではなく、走る機会を作ってあげることが必要です。ドッグランや広いフィールドなど安全にフリーランできる環境を確保できるかどうかが、ボルゾイの飼育において非常に重要なポイントとなります。もし自由に走る場所がない場合でも、ロングリードを使った運動や、自転車と並走させるような活動で代替することが可能です。ただし、成長期の過度な運動は関節や骨に負担をかけるため、年齢や発育段階に応じて調整する必要があります。

また、ボルゾイは「瞬発力」に優れているため、短時間で全力疾走を繰り返すタイプの運動が好きです。これはまさに狩猟犬として獲物を追う行動そのものに由来します。広場でのダッシュ、獲物を模したルアーコーシングなどは、本能を満たす素晴らしい方法です。逆に、単調な散歩や長時間のゆっくりとした運動だけでは満足感を得られず、ストレスを溜めてしまう可能性があります。

精神的な刺激も重要です。ボルゾイは賢く観察力に優れた犬種なので、単に体を動かすだけでなく「考える」遊びを取り入れると充実感が高まります。知育トイや簡単なトレーニング、獲物を追う動作を再現した遊びなどは、運動と知的刺激を同時に与えられるため有効です。

ただし、注意すべきは「狩猟本能による突発的な行動」です。外で小動物を見かけると、一瞬で全力疾走して追いかけてしまうことがあり、制御不能になる危険があります。そのため、散歩では必ずリードを着けることが大前提です。特に道路沿いや人通りの多い場所では、不意の飛び出しによる事故のリスクが高いため、強度のあるリードと首輪、もしくはハーネスを使用することが推奨されます。

季節や環境による調整も大切です。ボルゾイは寒冷地の犬であるため冬場の運動には強いですが、暑さには非常に弱い体質です。夏場は早朝や夜の涼しい時間帯を選んで散歩させ、激しい運動は避けるべきです。また、舗装道路での全力疾走は足や関節に負担をかけるため、できるだけ芝生や土の上で運動させることが理想です。

まとめると、ボルゾイは「家では静かだが、外では走ることで本領を発揮する犬」です。必要な運動量は決して短くはなく、広いスペースと安全な環境を確保できるかどうかが、飼い主の大きな課題となります。運動が不足すると、ストレスから問題行動が出る可能性もあるため、体力面だけでなく精神面を満たす工夫が不可欠です。そのしなやかで力強い走りは、まさにこの犬種ならではの魅力であり、適切な運動環境を与えることが、健康で幸せな生活への第一歩となります。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ボルゾイは、世界中の犬種の中でもひときわ優雅で気品ある姿を持つ犬として知られています。その外見は「生きる芸術品」と評されることもあり、長い歴史の中で美しさと機能性を兼ね備えた体型が維持されてきました。体の特徴、被毛の性質、そして毛色の多様性を理解することで、ボルゾイという犬種の本質がより深く見えてきます。

まず体の特徴について。ボルゾイは典型的な視覚ハウンドの体型を持ち、しなやかで流線形のシルエットが印象的です。体高はオスでおおよそ75〜85cm、メスで68〜78cmほどに達し、大型犬の中でも特に背が高い部類に入ります。体重はオスで40〜50kg前後、メスで35〜45kg程度が一般的です。胸は深く、腹部は引き締まり、脚は非常に長くスリムでありながら強靭な筋肉を備えています。この体型は長距離を走る持久力と、瞬時の加速力を両立させるために最適化されているのです。

頭部は細長く、鼻先に向かって美しく絞られ、知性と気品を感じさせます。目はアーモンド形で表情豊か、やや穏やかな印象を与えることが多いです。耳は小さめで後方に折りたたまれるようについており、走行中は後方に伏せられて空気抵抗を減らす役割を果たします。この全体のシルエットは、まさに「風を切って走るため」に設計されたデザインといえるでしょう。

次に被毛の特徴です。ボルゾイの被毛は「絹糸のように柔らかく、波状または巻き毛状」という点で独特です。胸部や首周りには特に豊かな飾り毛があり、体側はやや短めで滑らかな毛が広がります。触感は柔らかく上品であり、長毛犬種に見られるような重さやもつれやすさが少ないのが特徴です。とはいえ、毛玉防止のために定期的なブラッシングは欠かせません。週に2〜3回の手入れを行えば、美しい被毛を維持できます。換毛期には抜け毛が多くなるため、こまめなケアが必要です。

毛色に関しては、非常に幅広いバリエーションが認められています。白地にブラックやブラウンの斑が入るタイプ、シルバーやクリーム、ゴールド、赤毛、トライカラーなど、実に多彩です。単色の個体も存在しますが、斑や模様が入る場合が多く、同じボルゾイでもまったく異なる雰囲気を持つことが多いのです。毛色による性格や健康への影響は特にありませんが、その多様性がボルゾイ愛好家にとって大きな魅力のひとつとなっています。

被毛の美しさは外見的な魅力だけでなく、機能的にも意味を持っています。ロシアの厳しい寒さに耐えるために発達した被毛は、寒冷地での生活に適しています。その一方で、暑さには弱く、夏場には熱がこもりやすいため注意が必要です。特に日本の高温多湿の気候では、室内の温度管理と換気を徹底することが欠かせません。

さらに、ボルゾイの体の特徴を語る上で忘れてはならないのが「優美な走行姿勢」です。走るときには背中を大きくしならせ、脚を伸ばして地面を滑るように駆け抜けます。その姿は「飛ぶように走る」と表現されるほど美しく、ドッグショーでも高く評価されるポイントです。この走りこそが、ボルゾイの存在意義を象徴するものといえます。

まとめると、ボルゾイの体型は機能美にあふれ、被毛は上品で手入れ次第で一層の輝きを放ちます。毛色のバリエーションも豊富で、同じ犬種でありながら一頭一頭に個性があります。気品あふれる外見と、狩猟犬として培われた実用性の両方を兼ね備えている点が、この犬種の最大の特徴でしょう。

里親・ブリーダー・値段

ボルゾイはその優雅な姿と希少性から、多くの愛犬家の憧れの対象となっています。しかし、実際に迎え入れるとなると、入手経路や価格、さらには飼育環境への適応をよく考慮する必要があります。他の一般的な犬種に比べ流通量が少ないため、入手にはある程度の時間と労力がかかるのが現実です。ここでは里親制度、ブリーダーからの購入、そして値段の目安について詳しく解説します。

まず「里親制度」について。ボルゾイは希少犬種のため、保健所や一般的な譲渡会に出てくることは極めて稀です。ただし、個人飼育者の事情(引っ越し、経済的困難、病気など)によって手放されるケースは一定数あります。その場合、犬種専門の保護団体や愛好家のネットワークを通じて里親募集が行われることがあります。里親として迎える場合、初期費用は安く抑えられますが、成犬であることが多いため、既に性格や行動パターンが定まっていることが特徴です。性格が穏やかで飼いやすい個体も多い一方、しつけや健康状態に課題を抱えている場合もあるため、十分に理解したうえで迎えることが大切です。

次に「ブリーダーからの購入」について。日本国内でボルゾイを繁殖しているブリーダーは多くはありません。そのため、信頼できるブリーダーを探すことが重要になります。質の高いブリーダーは、健康面や性格面を考慮して計画的に繁殖を行い、遺伝的な疾患や性格の偏りを減らす努力をしています。また、子犬期から人との接触を重ねることで、社会化の基礎を築いているブリーダーもいます。こうしたブリーダーから迎えれば、健康的で飼いやすい個体を得られる可能性が高く、結果として長期的に安心した飼育につながります。

一方で、ペットショップでボルゾイを見かけることはほとんどありません。仮に販売されていたとしても、流通の過程で適切なケアがされていない場合があり、健康面のリスクが高いことが懸念されます。そのため、ボルゾイを迎える際は、直接ブリーダーや専門団体を通じての入手が望ましいといえます。

価格についてですが、日本国内でのボルゾイの子犬の相場はおおよそ30万円から50万円程度とされています。血統や容姿、両親のショーでの実績などによっては70万円以上に達することも珍しくありません。特に毛色や模様が美しく、ショードッグとしての資質を持つと判断される個体は高額になります。一方で、ペットタイプ(ショー向きではないが家庭犬として問題ない個体)の場合は相場よりも安価になる傾向があります。

ただし、購入費用はあくまで初期費用に過ぎません。大型犬であるボルゾイは、食費、医療費、しつけやトレーニング費用、生活用品などのランニングコストが非常に高くなります。特に食費は小型犬の数倍に達し、医療費も大型犬特有の疾患リスクを考慮すれば決して軽くありません。購入価格よりもむしろ日常の維持費用が家計に大きな影響を及ぼすため、長期的な視点で計画を立てることが不可欠です。

最後に、ボルゾイを迎える際に最も大切なのは「犬種の特性を理解し、適した環境を用意できるかどうか」です。広いスペースと十分な運動環境を確保できるか、暑さ対策が万全にできるか、そして何よりも精神的に自立した犬と共に暮らす覚悟があるかどうかが問われます。見た目の美しさに惹かれて衝動的に迎えるのではなく、ブリーダーや愛好家と十分に相談し、自分の生活スタイルと犬の特性が調和するかを見極めることが大切です。

総じて、ボルゾイは「容易には手に入らないが、その魅力は計り知れない犬種」といえます。入手経路や価格のみにとらわれず、犬の一生を通じて責任を持ち続けられるかを見極めた上で迎え入れることが、ボルゾイにとっても飼い主にとっても幸せな結果をもたらすのです。

ボルゾイの動画集

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ボルゾイの動画 その1

ボルゾイの動画 その2

ボルゾイの動画 その3

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