イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、イギリスを原産国とする犬種になります。
もともとは、主に鳥の狩りの際を主に、獲物を探索して追い込んだり、猟師が仕留めた獲物を運んでくる役目を務めていました。
また、16世紀から存在しており歴史としては古く、スパニエル種の始祖にあたるとも言われています。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルとは19世紀まで同じ犬種と見なされていましたが、 現在では別の犬種として扱われています。
両者とも長いウェーブのかかった被毛が特徴的な外見としては似ていますが、 イングリッシュ・コッカー・スパニエルと比べて、 イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは若干体つきが大きくなっています。
現在では、ショードッグでも活躍が見られる犬種です。
なお、犬種名の「スプリンガー」は、飛ぶもの・跳ねるものを意味し、 鳥猟犬としての機敏な動きであることに由来しています。
イギリス原産のスパニエル種ということと、合わせて名付けられています。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、鳥猟犬として長い歴史を持ち、人間と協力して作業することを前提に改良されてきた犬種です。そのため、総じて人間の指示をよく聞き、学習意欲が高く、訓練には比較的向いている部類に入ります。ただし、しつけが「簡単」というわけではなく、飼い主の態度や一貫性によって大きく結果が変わる犬種です。狩猟本能とエネルギッシュな気質が影響し、刺激の多い環境では集中力が散漫になりやすいため、訓練に工夫が求められます。
まず、この犬種は非常に人懐っこく、飼い主に喜んでもらうことを大きなモチベーションとする傾向があります。そのため、褒め言葉やおやつを使ったポジティブ・トレーニングと相性が良いです。叱責や強制的な方法は恐怖や不安を招き、反抗的な態度やストレス行動につながることがあるため避けるべきでしょう。遊びや作業を報酬にした学習は特に効果的で、日常の散歩やボール遊び、におい探しなどを「ごほうび」として活用するのがおすすめです。
ただし、スプリンガーは好奇心旺盛で、興味の対象を見つけると一気に集中してしまう傾向があります。特に鳥や小動物に反応することが多いため、若齢期から呼び戻しのトレーニングは必須です。呼び戻しがしっかりできないと、猟犬としての本能が働き、追いかける行動が抑えられなくなり、事故や迷子のリスクが高まります。幼少期から「名前を呼ばれたら必ず戻る」ことを徹底的に教え込みましょう。
また、賢いがゆえに、退屈すると望ましくない行動を学習してしまうこともあります。例えば、家の中で長時間放置されると、家具をかじったり、吠え癖がついたりすることがあります。したがって、しつけは「やってはいけないことを禁止する」のではなく、「代わりにしてもよい行動を教える」ことが基本になります。噛みたい欲求がある場合は専用のおもちゃを与え、吠えたくなる状況では静かにしていたらご褒美を与える、といった前向きな方向づけが効果的です。
さらに、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは社交的である反面、分離不安を起こしやすい傾向があります。飼い主と離れることに強いストレスを感じ、留守番中に問題行動を示す犬も少なくありません。そのため、子犬の頃から少しずつ「ひとりで落ち着いて過ごす練習」を積ませることが大切です。短時間から始めて徐々に慣らし、留守番が「安心できる時間」として受け入れられるように導いていく必要があります。
この犬種をしつけるうえで特に意識すべきは、「頭と体の両方を使わせること」です。単に座れ・伏せといった基本指示を繰り返すだけではなく、ノーズワークやアジリティ、服従訓練など、頭を使う活動を日常に取り入れることで、犬自身の満足感が高まり、問題行動を減らすことができます。実際にイギリスや北欧では、家庭犬でありながらスポーツ競技に参加するスプリンガーも多く、訓練性能の高さを示しています。
まとめると、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのしつけは「難易度が高いわけではないが、飼い主の工夫と一貫性が必要」と言えます。人と一緒に活動することを心から喜ぶ犬種なので、正しい方向に導けば非常に優秀な家庭犬・パートナーになれるでしょう。ただし、狩猟本能や活発さゆえの注意点も多いため、飼い主が「訓練を楽しむ姿勢」を持つことが成功の鍵となります。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その名の通り鳥を飛び立たせる(スプリングする)役割を担ってきた鳥猟犬です。この背景から、人間との協調性や作業意欲が強く、性格の明るさと社交性に富んでいます。一般的に「陽気でフレンドリー」「エネルギッシュで遊び好き」と評されることが多く、家庭犬としても人気があります。
ただし、その穏やかさや扱いやすさは、飼育環境や飼い主の接し方によって大きく変化します。
まず、この犬種の大きな魅力は「人懐っこさ」です。飼い主やその家族に対してはもちろん、来客や初対面の人に対しても比較的友好的で、警戒心が強すぎることはあまりありません。これは元来、人と協力して狩猟を行う過程で培われた性質であり、「人間と一緒にいること自体を楽しむ」気質を示しています。そのため家庭内では常に誰かのそばにいたがり、抱きついたり、足元に座ったりする行動をよく見せます。この性格は愛情深く魅力的ですが、反面、分離不安につながるリスクがある点には注意が必要です。
一方で、非常に活発で、時には落ち着きがないと感じることもあります。特に若齢期のスプリンガーは、好奇心とエネルギーが爆発的に溢れており、常に遊びや活動を求める姿勢を見せます。十分な運動や精神的な刺激を与えないと、家具をかじる、穴を掘る、無駄吠えをするなどの行動に出ることがあります。これらは「問題行動」ではなく、「退屈を紛らわす行動」であることが多いため、適切な遊びや仕事を提供することで大幅に改善されます。
性格的なバランスを取るために重要なのは、「運動欲求の発散」と「人とのコミュニケーション」です。スプリンガーは単に走り回るだけでなく、飼い主と一緒に遊ぶことを強く好みます。ボール遊びやフリスビー、川遊びなど、共同で行う活動は犬にとって大きな喜びとなり、精神的にも安定します。逆に放置気味の飼育環境では、フラストレーションがたまりやすく、性格が神経質になったり、吠えやすくなったりすることもあります。
また、この犬種は「社交的であるが支配的ではない」という特徴を持っています。闘争心が強いタイプではなく、むしろ「場を楽しむ」気質が強いため、多くの場面でトラブルを起こしにくい犬です。ただし、オスの場合は思春期に他犬に対して強気になるケースもあるため、社会化を怠らないことが大切です。早期にさまざまな犬や人、環境に慣れさせることで、成犬になっても柔軟で穏やかな性格を維持できます。
家庭犬としての性格面でのメリットは、子どもとの相性の良さにも表れます。元気いっぱいの子どもの遊び相手としても対応できる体力と社交性を備えており、過剰に神経質にならない傾向があります。ただし、そのエネルギー量が子どもの体力を超えることも多く、興奮しすぎると飛びついたり走り回ったりして、思わぬ事故につながる可能性もあるため、遊ぶ際は大人が仲介することが望ましいです。
一方で、性格的に「気を引きたがる」傾向も強く、飼い主が無視すると鳴き声やいたずらで注意を引こうとすることもあります。これは愛情深さの裏返しであり、正しい対応をすれば問題にはなりません。むしろ「人と一緒にいることで安心できる」という強みを生かし、家庭内での絆を深めていくと、理想的な伴侶犬となるでしょう。
まとめると、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの性格は「陽気で愛情深く、社交的で協調性が高い」と表現できます。ただし「落ち着いた性格」というよりは「活発で常に行動を求めるタイプ」であるため、飼い主がその特性を理解して環境を整えることが不可欠です。性格的には穏やかで家庭に適しているものの、運動や遊びを十分に満たすことができなければ、その本来の良さが発揮されないこともあります。この犬種と暮らす上では、エネルギーと愛情を共に受け止め、パートナーとして積極的に関わっていく姿勢が大切になるでしょう。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、狩猟犬として発展してきた犬種であり、基本的に頑健で体力も豊富です。そのため、日常的なけがやちょっとした体調不良には比較的強い面を持っています。しかし、純血種ゆえに特有の遺伝的な疾患リスクも存在し、寿命や健康管理に影響を与える場合があります。平均寿命は12〜14歳ほどとされ、同サイズの中型犬の中では標準的からやや長めの部類に入ります。適切な飼育環境と医療管理を行えば、15歳前後まで元気に暮らす個体も珍しくありません。
まず、この犬種でよく見られる疾患のひとつが「股関節形成不全」です。これは関節の構造に異常があり、成長とともに関節炎や歩行困難を引き起こす病気です。遺伝的要因が大きいため、信頼できるブリーダーからの迎え入れが大切です。また、肥満や過剰な運動は悪化要因となるため、子犬期からの体重管理と適度な運動が重要になります。
次に注意すべきは「耳の病気」です。スプリンガーは垂れ耳で毛が密に生えているため、耳道の通気性が悪く、外耳炎や真菌感染を起こしやすい特徴があります。特に水遊びや雨の日の散歩の後は耳が湿りやすく、細菌が繁殖する温床となります。定期的な耳のチェックと清掃が欠かせず、放置すると慢性化して強いかゆみや悪臭を伴うことがあります。耳を頻繁にかいたり、頭を振る仕草が見られた場合は早めの受診が必要です。
また、「眼の疾患」も比較的多い犬種です。代表的なのは「進行性網膜萎縮(PRA)」や「白内障」で、視力の低下や失明につながる可能性があります。遺伝的要因が強いため、繁殖時に遺伝子検査を行うブリーダーを選ぶことが予防につながります。定期的な眼科検診を受けることで早期発見・対応が可能となり、犬の生活の質を大きく守ることができます。
さらに「皮膚疾患」にも注意が必要です。被毛が厚く皮膚の通気性が悪い部分では、湿疹やホットスポット(急性湿疹)が発生しやすいです。特に夏場や湿気の多い環境では、こまめなブラッシングと皮膚のチェックを心がけましょう。また、食物アレルギーや環境アレルギーを持つ個体もおり、かゆみや発疹が長引く場合は専門的な検査が必要になることもあります。
スプリンガー独自の健康問題として知られているのが「スプリンガー・レイジ症候群(Springer Rage Syndrome)」です。これは突発的に攻撃的な行動を示す神経学的な問題で、特に一部の血統で見られます。発症頻度は高くありませんが、飼い主にとっては深刻な問題となるため、事前にこのリスクについて知識を持っておくことが重要です。発症の有無は遺伝や脳の異常に関係していると考えられていますが、予防が難しいため、信頼できるブリーダーを選び、異常行動が見られた際は早めに獣医師に相談する必要があります。
寿命については、12〜14歳という目安が一般的ですが、健康管理の内容によって大きく変動します。食事面では、高タンパクで栄養バランスの整ったフードを選び、肥満を避けることが第一です。肥満は関節疾患や糖尿病、心疾患などあらゆる病気のリスクを高めるため、日常の体重管理は欠かせません。また、この犬種は活動量が多いため、単に体重を維持するだけでなく、筋肉量を適切に保つことも重要です。筋肉がしっかりしていると関節への負担が減り、加齢後の歩行能力も維持しやすくなります。
加齢に伴い心臓疾患(特に僧帽弁閉鎖不全症)を発症するケースもあります。シニア期に入ったら定期的な心臓検診を受け、咳や運動 intolerance(すぐ疲れる)、呼吸の乱れなどの兆候があれば早期に治療を開始することが推奨されます。定期的な健康診断は平均寿命を伸ばすために非常に有効です。
まとめると、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは全体として健康的で活動的な犬種ですが、耳や目、関節、皮膚などに特有の弱点を抱えています。寿命は中型犬として標準的で、日々のケアと適切な医療を受けることで長生きが期待できます。飼い主が病気のサインを早く察知し、生活習慣を整えることで、この犬種の持つ明るく元気な性格を長く楽しむことができるでしょう。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、その明るく社交的な性格から、他の犬や子どもとの同居に比較的適している犬種といえます。家庭犬としての資質を十分に備えており、うまく育てれば人間社会における「協調性の高い伴侶」となり得ます。ただし、これはあくまで適切な社会化や飼育環境が整っている場合の話であり、準備を怠るとストレスやトラブルを招くこともあるため注意が必要です。
まず、他の犬との関係性について見てみましょう。スプリンガーは元来、人間と共に猟を行う犬であり、単独で獲物を追うというよりは、チームワークを重視してきた歴史を持っています。そのため、犬同士の関係も比較的柔軟で、適切に社会化されていれば他犬に対して攻撃的になることは少ないです。特に同じように活発で遊び好きな犬種との相性が良く、一緒に走り回ったり遊んだりすることを楽しみます。
ただし、注意点も存在します。スプリンガーは元気がありすぎるあまり、落ち着いた性格の犬や高齢犬にとっては負担になることがあります。遊びを誘うためにしつこく近づきすぎたり、体当たりをしたりして、相手を疲れさせてしまうケースも少なくありません。そのため、多頭飼育を考える場合は、相手の犬の性格や体力を十分に考慮することが必要です。また、オス同士では思春期以降に縄張り意識や優位性をめぐって衝突が起こることもあり得るため、早期の去勢や適切な社会化訓練が効果的です。
次に子どもとの同居についてです。スプリンガーは人懐っこく、子どもに対しても基本的に優しい態度を示すことが多い犬種です。エネルギッシュで遊び好きなため、元気な子どもと一緒に走り回ったりボール遊びをしたりすることを楽しみます。子どもの遊び相手としては理想的とも言える存在ですが、注意すべきはその「体力と勢い」です。遊びの中で興奮すると飛びついたり走り回ったりするため、小さな子どもが転んでしまう危険があります。これは攻撃性ではなく純粋な遊びの延長であることがほとんどですが、保護者が見守りながら関わらせることが望ましいです。
また、子どもに対しても「犬との正しい接し方」を教えることが重要です。耳や尻尾を引っ張られると、穏やかなスプリンガーでもストレスを感じます。幼い頃から子どもに「犬の休んでいる時は邪魔しない」「食事中やおもちゃで遊んでいる時に無理に触らない」といったルールを教えることで、互いに安心して暮らすことができます。
家庭内での同居においては、スプリンガーの「寂しがりやな一面」も考慮する必要があります。人や他の犬との交流を好むため、長時間一人で過ごすことが苦手です。多頭飼育の場合、相性が良ければ犬同士で遊んでストレス発散ができるため、分離不安のリスクを軽減できます。ただし、相性が悪いと逆にストレスの原因になるため、迎え入れる前に慎重な見極めが必要です。
さらに、この犬種には「狩猟本能」が残っているため、小動物との同居は注意が必要です。ウサギや小鳥、ハムスターなどは「獲物」と認識されてしまう可能性が高いため、基本的には同居は推奨されません。家庭内で小動物を飼っている場合は、絶対に自由に接触させず、生活空間を明確に分ける必要があります。
まとめると、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは他の犬や子どもと非常に良好な関係を築ける犬種です。明るくフレンドリーな性格は家庭犬として大きな魅力であり、適切に育てれば「遊び仲間」としても「癒しの存在」としても頼れる存在になります。しかし、その活発さゆえの勢いがトラブルの原因になることもあるため、飼い主が環境を整え、犬同士や子どもとの接し方を正しく導いていくことが必要です。協調性の高いこの犬種は、人との関わりを通じてこそ本来の魅力を発揮するため、積極的に交流の場を作り、社会的な経験を積ませることが、同居の成功に直結します。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、数ある鳥猟犬の中でも特に活動的で、豊富なスタミナを持つ犬種です。そのルーツは狩猟現場にあり、広大なフィールドを駆け巡りながら獲物を探し、飛び立たせ、回収するという作業を長時間こなすために改良されてきました。この歴史的背景から、家庭犬として暮らす場合でも非常に多くの運動を必要とします。実際に飼育する際には、この犬種のエネルギーレベルをしっかりと理解しておくことが不可欠です。
一般的に、スプリンガーが満足するためには「毎日の長めの散歩」に加え、「自由に走れる時間」や「頭を使う遊び」が必要です。具体的には、1日あたり最低でも1時間半から2時間程度の運動を要し、その中には全力で走る時間も含めるのが望ましいとされています。単にのんびり歩くだけでは不十分で、犬が心から満足することはできません。走る・ジャンプする・探索するといった多様な動きを取り入れることで、ようやく心身のバランスが保たれるのです。
この犬種は「身体的な運動」と同じくらい「精神的な刺激」を必要とします。元来が作業犬であるため、単純に走らせるだけでは退屈し、むしろストレスをためることもあります。ノーズワーク(嗅覚を使った遊び)、アジリティ競技、服従訓練、ドッグスポーツなどを通じて「頭を使う」活動を取り入れることが非常に効果的です。特に嗅覚を活用する活動はスプリンガーにとって本能的な喜びを伴い、エネルギーの発散だけでなく精神的な満足感も得られます。
家庭犬として暮らす場合にしばしば起こる問題は、「運動不足による行動トラブル」です。十分に運動できないスプリンガーは、家具をかじる、穴を掘る、吠え続けるといった行動を示すことがあります。これは「いたずら」ではなく、「余ったエネルギーを発散している」にすぎません。飼い主が「この犬種は落ち着かない」と誤解してしまうこともありますが、実際には運動や遊びを十分に満たすことで驚くほど穏やかに変わります。
また、スプリンガーは水が大好きな犬種でもあります。猟犬として水鳥の回収に使われてきたため、泳ぎは得意で、川や湖、海での水遊びは最高の運動と気分転換になります。泳ぎは関節に負担をかけずに全身運動ができるため、成犬はもちろんシニア犬にも適した運動方法です。安全性を確保した上で、定期的に水遊びを取り入れると良いでしょう。
ただし、エネルギッシュな気質ゆえに「運動さえすれば満足する」と思うのは誤りです。スプリンガーは人間との共同作業を通じて満足を得る犬種であるため、ただ庭に放しておくだけでは不十分です。飼い主と一緒に遊び、指示を受け、達成感を共有することこそが、この犬種にとっての本当の運動の意味になります。ボール遊びやフリスビーのようなインタラクティブな活動は、身体的・精神的な欲求を同時に満たすため特に適しています。
年齢によって必要な運動量には差があります。子犬期には関節への負担を避けつつ、短時間の遊びや探索をこまめに取り入れることが大切です。成犬期には最もエネルギーが充実し、毎日の激しい運動が必須となります。シニア期に入ると徐々に体力は落ちますが、完全に運動を制限するのではなく、その年齢に合った軽めの散歩や水泳などを継続することで健康寿命を延ばすことができます。
まとめると、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは「家庭犬の中でも運動欲求が非常に高い部類」に入ります。毎日の散歩はもちろん、走る・泳ぐ・遊ぶ・頭を使うといった多面的な活動を取り入れることで、ようやく心身の満足が得られます。飼い主がこの特性を理解し、積極的に運動の機会を提供できるかどうかが、この犬種との生活を成功させる最大のポイントと言えるでしょう。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、鳥猟犬の中でも優雅さと機能性を兼ね備えた犬種です。その姿は美しく調和が取れており、見た目の華やかさと実用的な体格が融合しています。体の構造から被毛の性質、毛色のバリエーションに至るまで、この犬種が長い歴史の中で狩猟や家庭犬として改良されてきた背景が色濃く反映されています。
まず体格ですが、中型犬に分類され、成犬の体高はおよそ48〜51cm、体重は18〜25kg程度が標準とされています。雌雄でやや差はありますが、大きすぎず小さすぎない、扱いやすいサイズ感が特徴です。体つきはがっしりとしていますが、重苦しさはなく、引き締まった筋肉とバランスの良い骨格を持っています。猟犬として長時間走り続けるための持久力と、瞬発的な動きに対応できる柔軟性が両立されており、まさに「スポーティーで機能的な体」と表現できます。
頭部は長すぎず短すぎず、穏やかで知的な表情を見せます。目はアーモンド形でやや優しい印象を与え、瞳の色は毛色に調和する濃い茶色が一般的です。耳は長く垂れ下がり、先端にかけて美しい飾り毛がついています。この耳は外見上のチャームポイントであると同時に、猟場で音を拾いやすくする機能も担っています。ただし、通気性が悪いため耳の病気に注意が必要なのはすでに述べた通りです。
被毛はダブルコートで、上毛は適度に長く、まっすぐかやや波状を示すことがあります。下毛は密生しており、防水性・保温性に優れています。これにより冷たい水場や厳しい天候の中でも作業を続けることが可能で、狩猟犬としての実用性を支えています。胸、腹部、脚の後ろ側、尾には飾り毛が豊かにつき、優雅で上品な外観を演出します。一方で、毛が絡まりやすく、定期的なブラッシングとグルーミングを怠ると毛玉や皮膚トラブルにつながるため、手入れは欠かせません。
毛色については、スタンダードとして認められているのは大きく分けて2系統です。
1. レバー(濃い茶色)&ホワイト
2. ブラック&ホワイト
さらにこれらに「タン(黄褐色)のマーキング」が加わる場合があり、「トライカラー」と呼ばれます。ホワイト部分には斑点やまだら模様(フリッケル)が入ることもあり、個体ごとに模様の出方が異なるため、それぞれに個性があります。毛色のコントラストははっきりとしていて美しく、動いている姿はとても映えます。
尾はもともと断尾されることが多かった犬種ですが、現在では動物福祉の観点から断尾を行わない国も増えています。自然な尾はやや長めで、豊かな飾り毛がついています。狩猟時には尾を振りながら茂みをかき分け、獲物を知らせる役割を果たしていたため、「スプリンガーの尾の動きはハンターへの合図」とも言われていました。家庭犬としては、その尾の振り方が感情表現の豊かさを示すポイントになり、飼い主にとっては大きな魅力の一つです。
全体的な体の印象としては「調和」「バランス」「機能美」がキーワードとなります。極端に重厚でもなく、また繊細すぎることもなく、狩猟犬として必要な持久力と俊敏性を備えた万能型の体型をしています。この点は見た目の美しさだけでなく、家庭犬としても「運動と生活の両立がしやすいサイズ感」としてメリットがあります。
まとめると、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルの外見的な特徴は「実用性と美しさの両立」と言えます。適度に引き締まった中型犬の体格、優雅な飾り毛を持つダブルコート、そして印象的な毛色のコントラストは、この犬種ならではの魅力です。その華やかな姿はショードッグとしても人気ですが、同時に実用犬としての機能を色濃く残しており、まさに「働く美しさ」を体現する犬種といえるでしょう。
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、日本では決して一般的な犬種ではありません。柴犬やトイプードルのような人気犬種と比べると流通量は少なく、入手方法や価格は飼い主にとって重要なポイントとなります。大きく分けて「里親として迎える方法」と「ブリーダーから購入する方法」の二つがあり、それぞれにメリットと注意点があります。
まず「里親」として迎える場合です。スプリンガーは日本国内の飼育頭数が少ないため、動物愛護センターや一般的な保護団体に多く出回る犬種ではありません。ただし、猟犬として飼育されていた個体が飼育放棄されるケースや、繁殖引退犬が里親募集に出ることは稀にあります。国内の保護犬団体やSNSでの里親募集サイトをこまめにチェックすると、運良く出会える可能性があります。里親として迎える場合、初期費用は医療費や譲渡費用程度で、数万円以内に収まることが多いですが、その犬の性格や健康状態が未知数であることが多く、しつけ直しや医療面での負担を覚悟する必要があります。とはいえ、保護犬を迎えることで命を救うという社会的な意義は大きく、熱意のある飼い主にとっては非常に価値のある選択肢です。
次に「ブリーダー」から迎える場合です。イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは海外では一定の人気を保っており、特にイギリスや北欧、アメリカではショードッグや家庭犬、作業犬として広く知られています。そのため日本でも輸入ラインを持つブリーダーが存在します。国内での専門ブリーダーは限られているため、購入を検討する際は「犬質(血統や健康管理)にこだわっているか」「遺伝疾患の検査を行っているか」を必ず確認する必要があります。特に股関節形成不全や進行性網膜萎縮(PRA)、耳疾患のリスクを減らすため、親犬に対して健康検査を実施しているブリーダーを選ぶことが重要です。
価格については、ペットショップに出回ることはほとんどなく、ブリーダーからの直接購入が中心となります。子犬の価格相場は国内では25万〜40万円程度が一般的です。ショークオリティや輸入犬の場合は50万円を超えることも珍しくありません。血統や容姿、親犬の実績によっても大きく変動します。なお、購入価格に加えて、輸入個体の場合は輸送費や検疫関連費用がかかるため、実際の総額はさらに高額になるケースがあります。
「里親」と「ブリーダー購入」の大きな違いは、前者が「出会いに左右される」方法であり、後者が「計画的に選べる」方法であるという点です。スプリンガーは性格に個体差があり、活発すぎる子や落ち着きやすい子などさまざまです。ブリーダーから迎える場合は親犬の性格や健康状態を確認できるため、家庭環境に合った子犬を選びやすいのが利点です。一方で、保護犬を迎える場合は成犬であることが多く、すでに性格がある程度固まっています。子犬期の育成はできませんが、その分「成犬の性格を確認したうえで迎えられる」という安心感もあります。
さらに考慮すべきは「維持費」です。スプリンガーは中型犬であり、フード代や医療費、トリミング代などが一定以上かかります。月々の食費は1万円前後、定期的なトリミングや耳掃除に数千円から1万円程度、さらに医療費は犬種特有の病気への備えが必要です。初期費用だけでなく、10年以上にわたる継続的な支出を見込むことが飼育の前提となります。
まとめると、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを迎えるには「希少性」と「価格の高さ」というハードルがあります。しかし、信頼できるブリーダーや保護団体との出会いがあれば、この犬種の魅力を存分に味わうことができます。活発で愛情深く、家庭に明るさをもたらすスプリンガーは、適切に迎え入れ、愛情と環境を整えればかけがえのないパートナーとなるでしょう。入手方法を慎重に選び、その後の長い生活に備えることが、この犬種を迎える上で最も大切な準備です。
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