イタリアン・グレーハウンドの起源は、グレーハウンド(ハウンド系:獲物を追跡する役目の猟犬)を始祖とする説が有力とされている犬種になります (ただし、完全に明確にはなっていません)。
この始祖となるグレーハウンドは古代のエジプトにてファラオの宮殿に存在していたとされる小型の犬になりますが、イタリアン・グレーハウンドはこの犬の系統を受け継ぐと言われています。
この犬種は当時の食器などに描かれています。
14〜16世紀のルネッサンス期のイタリアなど、南ヨーロッパで大いに発展したため『イタリアン』と呼ばれるようになったと言われています。
イタリアン・グレーハウンドは、この時代の貴族に多く飼われており、当時のルネッサンス期の絵画にも多く登場することで知られています。
その後、17世紀にイギリスへ渡り、さらに改良され小型化されていますが、イギリスやデンマークの王族にも愛されました。
ビクトリア王朝期に非常に人気が出た犬種です。
しかしながら、小型化された弊害により健康面で安定しておらず、その後で数は大きく減っていきました。
近代の第一次・第二次世界大戦後のイギリスでは、絶滅の危機に瀕し、ほぼ存在していない状態にまでになったと言われています。
一方、アメリカにはイタリアン・グレーハウンド は1800年代後半に渡っていきましたが、評判は良く、徐々に人気が高まっていきました。
その後、ブリーダーの手によって盛んに繁殖が行われ、現在は世界中で家庭犬の代表格の一つとなる犬種として飼われるようになっています。
イタリアン・グレーハウンドは、その細身でしなやかな体つきと、優美な姿勢から「小さな貴族」とも呼ばれる犬種です。外見は非常に繊細で気品がありますが、しつけの観点で見ると、単純に「しやすい」「しにくい」と言い切れない面を持っています。飼い主のアプローチの仕方や環境づくりによって、大きく結果が変わってくるのが特徴です。
まず、イタリアン・グレーハウンドは非常に頭の良い犬種です。物事を理解する力が高く、学習のスピードも早いため、正しい方法で教えれば基本的なコマンドや生活習慣を身につけるのは比較的スムーズです。ただし「理解が早い=すぐに従う」というわけではなく、独立心が強いため、自分の気持ちや興味を優先する傾向も見られます。つまり、「わかっているけれど、今はやらない」という姿勢を見せることが少なくありません。ここで飼い主が焦って強制的に命令しようとすると、かえって犬との信頼関係を損ね、学習を嫌がるようになってしまうのです。
この犬種において特に課題となりやすいのは、トイレトレーニングです。イタリアン・グレーハウンドは寒さに非常に弱く、冬場や雨の日には外に出ることを嫌がります。そのため、外トイレ派に育てようとすると失敗が増えやすく、室内でもシートを使えるように慣らすことが重要になります。また、骨格が細いため、骨折のリスクを避ける意味でも、無理に屋外で排泄させる必要はありません。小型犬特有の「マーキング行動」も出やすいため、子犬のうちから早めにルールを定め、一貫して指導していくことが望ましいです。
さらに、この犬種は繊細で臆病な一面を持っています。大きな声で叱ったり、手を使って強く制止したりすると、恐怖心が先立ってしまい、学習がストップするどころか飼い主を避けるようになってしまいます。そのため、しつけでは「褒めて伸ばす」姿勢が必須です。小さな成功を見逃さずに褒めることが、イタリアン・グレーハウンドのやる気を引き出し、行動を定着させる最も効果的な方法です。
もう一つの特徴は、社会化期の経験の重要性です。イタリアン・グレーハウンドは他犬種に比べても環境の変化に敏感で、新しい音や匂い、人や犬に対して警戒心を抱きやすい傾向があります。社会化が不十分だと、散歩中に固まって動かなくなったり、来客に対して過度に吠えたりすることもあります。子犬の頃から様々な環境に少しずつ慣らし、肯定的な経験を積ませていくことが将来的に安心できる生活につながります。
しつけに取り組む際の工夫としては、訓練をゲーム感覚にすることが有効です。たとえば「待て」の練習をおやつ探しゲームと組み合わせたり、「呼び戻し」をクリッカーや楽しい遊びと関連付けることで、犬自身が「従うこと=楽しい」と感じるようになります。
総合すると、イタリアン・グレーハウンドは頭の良さと繊細さを併せ持つ犬種であり、しつけが決して不可能というわけではありません。むしろ正しい方法を選べば早く成果が出る犬種といえます。しかし、感情的に叱ったり、厳しい態度で臨んだりするとすぐに不信感を抱いてしまうため、飼い主側に「忍耐力」「観察力」「一貫性」が強く求められます。つまり、犬を無理に人間に合わせさせるのではなく、犬の気質を理解し、それに寄り添った方法で導いていくことが、しつけの成功の鍵となるのです。
イタリアン・グレーハウンドは、そのスリムでしなやかな姿から想像できるように、とても繊細で柔らかな気質を持った犬種です。全体的に攻撃性は低く、家庭内では穏やかで静かな生活を好む傾向があります。しかし、その性格の奥には、臆病さや神経質さといった面も隠れており、扱い方や環境によって大きく性格表現が変わるのが特徴です。
まず、この犬種は非常に人懐っこく、特に信頼を寄せた飼い主に対しては深い愛情を示します。家の中では飼い主の後をついて回ったり、膝の上に乗って体を密着させたりと、常に「一緒にいたい」という思いを行動で表現します。抱っこやスキンシップを好む個体も多く、家庭犬としての「可愛らしさ」を十分に感じさせてくれるでしょう。その反面、独りぼっちになることを苦手とし、長時間の留守番では強い不安を抱く傾向があります。いわゆる「分離不安」を起こしやすいため、飼い主との生活リズムや家庭の環境を考慮して迎えることが大切です。
性格のもう一つの特徴は「臆病さ」です。イタリアン・グレーハウンドは物音や見慣れない物に敏感で、驚いて固まったり逃げたりすることがあります。例えば、散歩中に自転車のベルが鳴っただけで立ち止まり動けなくなったり、来客が急に立ち上がっただけで警戒するなど、他犬種に比べて環境刺激に対する反応が強めです。これは、狩猟犬として敏感な感覚を持つ血統的背景にも関係していますが、同時に「性格的に繊細である」という要素も絡んでいます。したがって、この犬種には「安心できる環境を与えること」が大前提となります。
一方で、家庭の中で安心できる関係が築かれると、その性格は驚くほど穏やかに変わります。人に寄り添い、静かにソファで丸くなっている姿や、日向で気持ちよさそうに眠る姿は、イタリアン・グレーハウンドの魅力の一つです。また、小型犬の中では無駄吠えが比較的少なく、騒がしい犬種ではありません。もちろん、全く吠えないわけではありませんが、吠える理由の多くは警戒や不安によるものであり、環境に安心していれば声をあげる回数も減っていきます。
運動面では、屋内では大変おとなしいのに対し、外では急にスイッチが入ることがあります。元々はサイトハウンド(視覚で獲物を追うグループ)の仲間であり、俊敏に走り出す能力を持っています。普段は大人しいのに、広い場所に出ると一気に全力疾走する姿は、この犬種の「二面性」を感じさせます。そのため「家では穏やか、外では俊敏」というギャップがあり、性格を理解せずに「ずっと落ち着いている犬」と考えていると意外に驚かされるかもしれません。
さらに、この犬種は「繊細さ」と「甘えん坊気質」が相まって、精神的に未熟な部分を見せることがあります。例えば、雷や花火といった大きな音にパニックを起こしたり、知らない犬に近づかれると飼い主の背後に隠れることもあります。これは弱さというより、敏感さからくる自然な反応です。そのため、無理に慣れさせようとするのではなく、少しずつ「怖くない経験」を積ませ、自己肯定感を育てるような接し方が必要です。
総合的に言うと、イタリアン・グレーハウンドは「穏やかで優しいが、とても繊細」な犬種です。家庭では大きな癒しを与えてくれる存在ですが、その性格を安定させるためには、飼い主の理解と配慮が不可欠です。飼い主が安心を与え、温かい接し方を続けることで、イタリアン・グレーハウンドは本来の落ち着いた性格を存分に発揮し、理想的な家庭犬としての魅力を示してくれるでしょう。
イタリアン・グレーハウンドは、その優美な姿や細身の体からも分かるように、体質的に非常に繊細な犬種です。全体的に健康で長生きする傾向はあるものの、特有の注意点や病気、そして骨格の弱さからくる怪我のリスクが大きな課題となります。飼い主にとっては、病気の予防と事故防止が飼育の中心テーマになると言えるでしょう。
まず寿命についてですが、イタリアン・グレーハウンドの平均寿命はおおよそ14〜16歳とされています。小型犬としては標準からやや長寿の部類に入り、適切な飼育環境と健康管理を行えば17歳以上まで生きる個体も珍しくありません。体が華奢に見える一方で、臓器系の強さや全身のバランスは良く、先天的に大きな病気を抱える確率はそれほど高くはないのです。
しかし、問題はその細く長い四肢と華奢な骨格です。イタリアン・グレーハウンドは骨折や脱臼などの外傷リスクが極めて高い犬種として知られています。特に子犬期には骨がまだしっかりと形成されていないため、ソファからの飛び降りやフローリングでの滑りによって前脚や後脚を骨折する事故が多発します。成犬になってからも骨は他犬種に比べて細いため、油断はできません。そのため、この犬種を迎える家庭ではまず「室内の安全対策」が最優先となります。フローリングには滑り止めマットを敷く、家具の高さを調整する、階段の上り下りを制限するなど、物理的に怪我のリスクを減らす工夫が欠かせません。
病気の面で特に注意が必要なのは、歯周病です。イタリアン・グレーハウンドは小型犬全般と同様に顎が細く、歯が密集しているため、歯石や歯肉炎が進行しやすい体質を持っています。歯周病は口腔内の問題にとどまらず、心臓や腎臓などの臓器疾患につながる可能性もあるため、毎日の歯磨きや定期的な歯科検診は必須です。
また、この犬種は寒さに非常に弱いことから、低体温症や風邪をひきやすい傾向があります。脂肪が少なく被毛も短いため、体温保持が難しいのです。冬場の散歩では必ず洋服を着せること、室内でも冷たい床に直接寝かせないことが重要です。寒さに関連して膀胱炎などの泌尿器系疾患を発症する例もあるため、水分補給を心がけ、トイレ環境を快適に整えることが望まれます。
遺伝的な疾患のリスクとしては、進行性網膜萎縮症(PRA)やてんかん、甲状腺機能低下症などが知られていますが、発症率は決して高くはありません。ただし、ブリーディングの質によってはこれらの疾患を持つ個体が生まれることもあるため、信頼できるブリーダーから迎えることがとても重要です。
心臓に関しても注意が必要です。イタリアン・グレーハウンドは僧帽弁閉鎖不全症といった心臓病にかかることがあり、中高齢期からの発症例が目立ちます。定期的な健康診断で心音を確認し、早期発見を心がけることが健康寿命を延ばす鍵となります。
運動に関しても「走るのが大好きだからどんどん走らせれば良い」と考えるのは危険です。確かに全力疾走する姿はこの犬種らしさの一つですが、過度な運動や硬い地面での急な加速は骨や関節に負担をかけます。散歩は無理のない範囲で行い、安全なドッグランでは目を離さずに短時間の運動を楽しませるのが理想です。
総合すると、イタリアン・グレーハウンドは病気自体に対しては比較的強く、長寿が期待できる犬種です。しかし、怪我のリスクが非常に高いため「健康管理=事故防止」と言っても過言ではありません。日常的な歯磨きや寒さ対策に加え、住環境の工夫によって骨折を防ぐことが、この犬種と長く健やかに暮らすための最も大切なポイントなのです。
イタリアン・グレーハウンドは、家庭犬としての人気が高い一方で、その繊細さや体の特徴から「同居の相性」に注意が必要な犬種です。他の犬や子どもと共に暮らす場合、どのような点に配慮すべきかを理解しておくことが、平和で安心できる生活を築くためのカギになります。
まず、他の犬との関係についてですが、イタリアン・グレーハウンドは基本的に攻撃性が低く、穏やかで社交的な気質を持っています。そのため、相手の犬が過度に攻撃的でなければ、仲良く過ごすことが可能です。特に同じように繊細で穏やかな犬種、あるいはサイズが近い小型犬とは相性が良い場合が多いです。しかし、大型犬や活発すぎる犬と一緒に生活させると、体格差や動きの激しさから怪我につながる危険性があります。例えば、遊びの最中に体当たりされただけでも骨折のリスクがあるため、同居犬を選ぶ際にはサイズや性格の相性を慎重に検討する必要があります。
もう一つ考慮すべき点は「犬同士の遊び方」です。イタリアン・グレーハウンドは俊敏な走りを得意とするため、追いかけっこのような遊びを好みます。しかし、走るスピードが非常に速いため、同居犬が追いつけずに苛立ったり、逆にぶつかって事故が起きたりすることもあります。そのため、多頭飼育を考える場合は「無理に遊ばせない」「安全な環境で観察しながら遊ばせる」といった工夫が求められます。
次に、子どもとの同居についてです。イタリアン・グレーハウンドは人懐っこく、家族に深い愛情を示すため、基本的には子どもとも仲良くできる犬種です。しかし、子どもとの生活においては特有のリスクが存在します。まず最も大きな問題は「体の華奢さ」です。小さな子どもが不用意に抱っこしようとしたり、遊びの中で勢い余って押したりすると、それだけで骨折してしまう危険があります。そのため、幼児との同居は注意が必要で、もし一緒に暮らす場合は必ず大人が介入し、犬に過度な負担がかからないよう管理しなければなりません。
また、イタリアン・グレーハウンド自身が繊細なため、子どもの予測不能な動きや大きな声に驚いてしまうことがあります。特に臆病な性格の個体では、子どもを怖がって距離を取ったり、逃げ場を失ってパニックになることもあります。ですので、子ども側にも「優しく触る」「大声を出さない」「無理に抱っこしない」といったルールを教えることが不可欠です。犬と子ども双方が安心できる距離感を学ばせることで、良好な関係を築くことができます。
一方で、学齢期以上の子どもであれば、イタリアン・グレーハウンドとの相性は比較的良好です。この犬種は遊び好きで、安心できる環境では非常に甘えん坊な一面を見せます。子どもが犬に対して穏やかに接することができれば、ソファで寄り添って昼寝をしたり、一緒に軽い遊びを楽しんだりするパートナーになってくれるでしょう。ただし、長時間の激しい遊びや抱っこは避け、犬の体に負担がかからない範囲で関わることが重要です。
さらに、多頭飼育や子どもとの同居に共通して重要なのが「安心できる場所の確保」です。イタリアン・グレーハウンドは繊細なため、自分だけの静かな空間を必要とします。クレートやベッドを用意し、他の犬や子どもが近づけない「避難場所」を設けることで、精神的な安定が保たれます。安心できる居場所があることで、同居生活全体のストレスを大幅に減らすことができるのです。
総合すると、イタリアン・グレーハウンドは基本的に友好的で他者との関係性を築くことができる犬種ですが、その華奢な体格と繊細な性格ゆえに、同居には特別な配慮が必要です。他の犬や子どもと仲良く暮らすことは可能ですが、飼い主が常に見守り、無理のない関係性を作り出すことが前提条件となります。安全と安心が確保されれば、イタリアン・グレーハウンドは家族の一員として愛情豊かに過ごしてくれるでしょう。
イタリアン・グレーハウンドというと、そのスリムで俊敏な姿から「たくさん運動が必要なのでは?」と思われがちです。実際には、運動に対する欲求は決して一律ではなく、この犬種ならではの特徴を理解する必要があります。適切な運動を与えることで心身の健康を保つことができますが、過度な負担や危険を避ける工夫も欠かせません。
まず、イタリアン・グレーハウンドはサイトハウンド(視覚を頼りに獲物を追う猟犬)の仲間です。そのため瞬発力に優れており、短距離を猛スピードで走ることを本能的に好みます。一方で持久力はあまり強くなく、長時間の運動を必要とするわけではありません。つまり「短時間で集中的に動きたい」タイプであり、日常的にはそれほど長い散歩を必要としないのが特徴です。
家庭での生活においては、1日2回、各20〜30分程度の散歩で十分とされます。散歩の内容も、ずっと歩き続けるのではなく、時折小走りを入れたり、におい嗅ぎで刺激を与えたりすることで満足感を得られます。また、安全な環境であればリードを外して全力疾走させることが理想ですが、細い骨格ゆえに硬いアスファルトでの激しい走行は関節や骨に負担をかけるため注意が必要です。芝生や土の柔らかい地面で、短時間のスプリントを楽しませるのが望ましい運動方法です。
家の中では驚くほど静かに過ごすのも、この犬種の特徴です。日中はソファやベッドで丸くなり、ほとんど動かずに眠っていることが多いため、「意外と省エネな犬」と感じる飼い主も多いでしょう。ただし、体を使って走る機会が全くないとストレスが溜まり、行動面に問題が出ることがあります。例えば、家具をかじる、急に部屋中を猛ダッシュする「ズーム」を繰り返すなどの行動は、運動不足のサインとも考えられます。
注意すべきは、骨折のリスクと寒さへの弱さです。走ることが大好きだからといって、無理に毎日ドッグランで激しく運動させると怪我につながります。また、冬場は外の寒さで体がこわばり、筋肉がスムーズに動かず転倒や捻挫を起こしやすくなるため、防寒対策をしたうえで短めの散歩に切り替える必要があります。運動量そのものよりも「安全に体を動かせる環境を確保する」ことが大切なのです。
さらに、この犬種は運動だけでなく「頭を使う活動」も重要です。イタリアン・グレーハウンドは知的で学習能力が高いため、単なる散歩だけでは刺激が足りなくなることがあります。嗅覚を使ったトリーツ探しゲームや、簡単なトリックの練習などを取り入れると、心身の満足度が大きく向上します。
シニア期に入ると、運動量は自然と減っていきますが、完全に動きを制限してしまうのは逆効果です。筋肉量が落ちると関節や骨に負担がかかりやすくなるため、短時間でも毎日歩かせることが健康維持に役立ちます。また、関節炎や心臓病の兆候が出やすい年齢になったら、獣医師と相談しながら無理のない運動メニューに調整していくと安心です。
総合すると、イタリアン・グレーハウンドは「運動が好きだが、大量には必要としない犬種」と言えます。家庭で落ち着いて過ごせる反面、短い時間での爆発的な走りを楽しむことができれば心身ともに満たされます。飼い主が意識すべきは「長時間の散歩よりも、質の高い運動」「安全と環境の整備」「頭を使う遊びとのバランス」です。これらを実現できれば、イタリアン・グレーハウンドは健康で穏やかな生活を送ることができるでしょう。
イタリアン・グレーハウンドは、優雅で繊細な体つきが最大の特徴とされる犬種です。古代ローマ時代から存在していたとされ、貴族や王族に愛されてきた歴史を持ちます。その姿はまるで小型化されたグレーハウンドのようであり、「小さな気品の象徴」としても知られています。ここでは体格や被毛、毛色といった外見的な特徴を詳しく解説していきます。
まず体格ですが、イタリアン・グレーハウンドは小型犬に分類され、体高はおよそ32〜38cm、体重は3〜5kg程度が標準です。細長い四肢とスリムな胴体を持ち、全体的に無駄のない引き締まった体型をしています。そのシルエットは非常に洗練されており、背中はやや弓なりに反り、胸は深く狭く、腹部は大きく引き締まっています。この独特の体型は、瞬発力を生かして短距離を俊敏に走るために適応した形であり、サイトハウンドとしての特徴を色濃く残しています。
頭部は小さく、長くて細いマズルを持ち、全体的にシャープな印象です。目は大きめでアーモンド形、表情は柔らかく優しい雰囲気を漂わせます。耳は小さめでローズイヤーと呼ばれる後方に折れた形が標準ですが、感情が高ぶると立ち耳気味になる個体もいます。尾は非常に細長く、先端はわずかにカーブしており、リラックス時には下に垂れ下がっていることが多いです。
骨格の華奢さは、見た目の美しさと同時に弱点ともなります。特に四肢は極めて細いため、ちょっとした衝撃でも骨折や脱臼のリスクがあります。これは見た目の特徴であると同時に、飼育における最大の注意点の一つです。
次に被毛についてですが、イタリアン・グレーハウンドの被毛は非常に短く、滑らかで光沢があります。アンダーコートを持たないシングルコートであるため、抜け毛の量は少なく、手入れも比較的簡単です。ブラッシングは週に数回、ラバーブラシやグローブタイプのブラシで軽くなでる程度で十分でしょう。ただし毛が短い分、皮膚が外気に直接さらされやすいため、寒さや紫外線に弱く、皮膚のトラブルが起きやすい点に注意が必要です。
毛色のバリエーションは豊富で、FCI(国際畜犬連盟)やJKC(ジャパンケネルクラブ)で認められているカラーは、ほぼ単色が基本となります。代表的な色にはブルー(青みがかったグレー)、フォーン(淡い黄褐色)、ブラック、レッドなどがあります。また、ホワイトとの組み合わせで胸や足先にマーキングが入る個体も見られます。特にブルーとフォーンはこの犬種らしい優美さを引き立てる色として人気があります。派手なブリンドルや大きな斑模様は公式スタンダードでは好まれない場合がありますが、家庭犬としては問題なく愛されるカラーです。
被毛の短さゆえに、体温調節は非常に苦手です。冬場は特に寒さに弱く、屋外に出る際は防寒用の洋服が必須となります。逆に夏場は直射日光で体がすぐに熱くなってしまうため、散歩は早朝や夕方に行うのが望ましいです。見た目の優美さの裏には、温度変化に弱い体質が隠されているのです。
また、毛が短いために皮膚の状態がよく観察できるというメリットもあります。健康なときはツヤがあり滑らかですが、栄養状態や体調の変化によって毛の質がすぐに変わります。毛艶が悪くなったりフケが増えたりした場合は、食事や体調の見直しが必要なサインかもしれません。
総合すると、イタリアン・グレーハウンドの外見的特徴は「華奢で優美」「短毛で繊細」「豊富な単色の毛色」という点に集約されます。その美しい姿は古くから人々を魅了してきましたが、同時にその体質は非常にデリケートであり、日々の生活では特に温度管理や怪我の防止に配慮することが欠かせません。見た目の美しさと、それを守るための繊細なケアが、この犬種と暮らす上で表裏一体のテーマとなるのです。
イタリアン・グレーハウンドを迎えるにあたり、選択肢は大きく分けて「ブリーダーから購入する」「ペットショップで購入する」「保護犬として里親になる」という3つがあります。それぞれにメリットと注意点があり、この犬種特有の性質を理解したうえで慎重に選ぶ必要があります。
まず、ブリーダーから迎える場合についてです。イタリアン・グレーハウンドは日本でも一定の人気があり、専門のブリーダーが存在します。信頼できるブリーダーは、犬の健康や気質に強く配慮し、適切な環境で繁殖を行っています。特にこの犬種は骨折や遺伝性疾患のリスクがあるため、親犬の健康状態や血統背景をきちんと確認できるブリーダーから迎えることが非常に重要です。優良なブリーダーは、購入後の飼育相談にも応じてくれるため、初めて飼う人にとって心強い存在となるでしょう。価格帯としては、一般的に子犬で25万〜40万円程度が目安となります。毛色や血統の希少性によっては50万円以上となるケースもあります。特にブルー系やチャンピオン血統の子犬は高値で取引される傾向があります。
ペットショップでの購入も可能ですが、注意が必要です。ショップによっては繁殖環境や親犬の健康状態が不明確な場合があります。そのため、見た目のかわいらしさだけで即決するのではなく、信頼できる店舗かどうかをしっかり確認することが大切です。また、ショップ経由の場合はブリーダーと直接のつながりが薄いため、遺伝的なリスクや性格の傾向を把握しづらいという欠点もあります。
一方、里親制度を通じて迎える選択肢もあります。イタリアン・グレーハウンドは人気犬種のため、保護団体や里親募集サイトで見かける機会もゼロではありません。理由としては、骨折や病気の治療費が高額になること、繊細で扱いにくい性格に飼い主が対応できなかったことなどが挙げられます。里親として迎える場合のメリットは、命を救い、新しい家族として迎え入れる喜びを得られる点です。費用も医療費の一部負担(数万円程度)が中心で、子犬購入のような高額な費用はかかりません。ただし、保護犬は過去の環境によって心身にダメージを抱えている場合が多いため、十分な理解と覚悟が必要です。特にイタリアン・グレーハウンドは繊細な犬種のため、里親になる場合は経験豊富な飼い主に向いていると言えるでしょう。
迎え方にかかわらず、この犬種を飼うにあたっては「初期費用」と「維持費」にも注目しておく必要があります。初期費用としては子犬の購入代金に加え、ケージ、ベッド、滑り止めマット、防寒用の服などが必要となり、合計で10万〜20万円程度は見込んでおくべきです。維持費については、小型犬であるためフード代は比較的少なくて済みますが、医療費が嵩みやすい傾向があります。特に骨折や歯科治療には高額な費用がかかることが多く、突発的な出費に備える必要があります。ペット保険の加入を検討する飼い主が多いのもこの犬種の特徴です。
最後に、迎える際に大切なのは「価格」だけではなく「相性」と「信頼性」です。イタリアン・グレーハウンドは外見の美しさや優雅さに惹かれて選ばれることが多い犬種ですが、その一方で繊細さ、寒さや怪我への弱さ、留守番の苦手さといった飼育上の課題もあります。そうした特性を理解し、しっかりと受け止められる環境があるかどうかが、犬にとっても飼い主にとっても幸せな生活を送るための条件となります。
総合すると、イタリアン・グレーハウンドの入手方法は多様ですが、どの方法を選ぶにせよ「健康状態」「飼育環境」「飼い主の理解度」を最優先に考えることが大切です。信頼できるブリーダーから迎えるのが安心ではありますが、里親制度を通じて新しい命を救う道も大変意義があります。どの選択をするにしても、イタリアン・グレーハウンドの特性を理解し、その繊細さを尊重できる覚悟を持つことが、この犬種と幸せに暮らす第一歩となるでしょう。
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犬と生活している中で、犬が首をかしげる(傾げる)瞬間は、割と遭遇する場面の一つかもしれません。
人間みたいでかわいいと言われることが多い、この代表的な犬の仕草の一つ。
本稿では、犬が首をかしげるときについて詳しくお送りしています。
.......(続きは以下ボタンから)先日お送りしました記事、『ドッグカメラ【Furbo(ファーボ)】を使ってみました!』の第二編になります。
今回は、イタリアン・グレーハウンド「ユアン」のおうちにて、ドッグカメラ『ファーボ』を使用している感想をお送りしま
ワンコの中には被毛が短く、寒さに弱い犬種も多く存在しています。
今回は、そんな寒さに弱い犬種の代表格の一つ、イタリアン・グレーハウンドが主役です。
とある家庭のイタリアン・グレーハウンドが経験した、寒さによって引き起こされた疾患と、 その寒さ対策をご紹介します。
当サイトにてお手伝いさせて頂いた方の事後レポートになります。
※本文は、寄稿いただいた方の原文をハピわん!にて最低限の校正をし掲載しております。
◆ケース概要
・寄稿主さま:迷子犬を探していた飼い主さま
・進捗:2021/5/21無事に解決済み(捜索期間:2日間)
最近うちの家族が「もう1匹犬を…」なんて話をし始めていて、冗談半分かと思いきや、どうやら本気らしいんです。で、ふと気になったのが、今いるのがイタリアン・グレーハウンド(イタグレ)なんですが、イタグレって多頭飼いに向いてるのかどうか、全然自信がないんです。私は犬を飼うのも初めてのほうだったので、正直一匹の世話だけでいっぱいいっぱいという気持ち
.......(続きはここをクリック)去年からイタグレを飼い始めて、毎日癒されながら暮らしています。
最近、気になることがあって投稿させていただきました。うちの子、時々すっごく嬉しそうな顔をするんです。人間みたいに口角が上がって、まるで笑ってるみたいな感じなんですよね。
特に、おやつをあげる時とか、散歩から帰ってきた時とか、私が仕事から帰ってきた時なんかに見られます
.......(続きはここをクリック)こんにちは。ミニチュア・ピンシャーを飼おうか検討している34歳です。イタリアン・グレーハウンドの友達がいて、よく一緒に散歩したりするんですが、その子が階段から落ちて骨折しちゃったんです。
それで気になったんですが、ミニピンも同じように骨折しやすい犬種なんでしょうか?見た目は全然違うけど、どちらも細くて繊細な印象があって。
実は今
.......(続きはここをクリック)みなさん、こんにちは!🐕 イタグレ1歳の飼い主です!
最近、ふと思ったんですけど、犬の歯磨きっていつから始めるべきなんでしょうか?😅
うちの子、去年の夏から飼い始めたんですが、正直なところ歯磨きのタイミングを完全に逃してしまった気がして...💦 今からでも遅くないのかな?って不安になってます。
歯磨きガムは時々あげてるんで
.......(続きはここをクリック)みなさん、こんにちは。うちの子イタリアングレーハウンドなんですが、走るのが大好きで、いつもドッグランで思いっきり走り回ってるんですが、最近ちょっと心配になってきて...
実は昨日も、いつものドッグランで遊んでたんですが、帰ってきてからずっとぐったりしてて。もちろん疲れるのは当然なんですけど、これって普通なのかな?って思い始めちゃって。
.......(続きはここをクリック)イタグレを飼っている者です。最近、愛犬と一緒にもっと活発な活動をしたいなと思うようになりまして、ドッグスポーツへの参加を検討しているのですが、イタグレという犬種がそもそもドッグスポーツに向いているのかどうか、正直よくわからない状況です。
うちの子は普段から走るのが大好きで、散歩中もかなりのスピードで駆け回っているんですが、それをもっと
.......(続きはここをクリック)現在、イタリアン・グレーハウンド(イタグレ)とのドッグラン口コミ投稿はありません。
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