【万能で優しさにあふれる最強のパートナー、ラブラドール・レトリーバー】

ラブラドール・レトリーバーの基本情報(性格・しつけ・病気など)

 
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ラブラドール・レトリーバー
[英記]:Labrador Retriever

    ◇基本データ
  • ・サイズ: 大型犬
  • ・体高:52cm~62cm
  • ・体重:25kg~35kg

  • ◇起源・歴史・沿革・系統:
  • ラブラドール・レトリーバーは、カナダ東部のニューファンドランド島に起源を持つ犬種になります。

    もともとの祖先犬は、ニューファンドランドを起源とした、セントジョンズレトリバーと言われています。
    この犬はいわゆるウォータードッグでした。
    このウォータードッグは、漁師の手伝いとして、水中に飛び込んで魚を回収したり、引き揚げたりする、または小舟を引く犬として飼われていた犬になります。
    当時は、『スモールウォータードッグ』などとも呼ばれていたようです。

    19世紀頃には、イングランドに渡来し改良され、現在のラブラドール・レトリーバーの形が生まれ、 鳥猟犬としても飼われていました。
    このニューファンドランドを起源にもつ犬種は、カナダのニューファンドランド島南東部のアバロン半島が本来の出身地ということになりますが、実際には今の犬種が形成されたイギリスを原産としています。

    現在の『ラブラドール』という名前は、カナダの出身地域であるニューファンドランドを含む地域をラブラドール地方と呼んでいたことに由来しています。

    ラブラドール・レトリーバーは1991年にアメリカで最も人気のある品種にもなりました。


    現代では、介助犬や盲導犬としても有名で、それ以外にも、警察犬、麻薬犬、救助犬としても活躍しています。

    また、ラブラドール・レトリーバーは、外形の違いから2タイプ存在しています。
    比較的がっしりとした体型のイングリッシュタイプと、すっきりとした比較的細身の体型のアメリカンタイプに大まかに分類できます。


    ◇こんなスタイルで犬を飼いたい方・こんな状況の方との相性Good!!
    ・とにかく飼いやすい性格の犬を飼いたい
    ・運動量の多さは一緒に楽しめる。ドッグスポーツも考えている
    ・しつけは初心者だが、最低限、基本に忠実にきちんとやりきる
    ・普段から愛犬とのスキンシップはマメに取りたい
ラブラドール・レトリーバーのメイン写真 ラブラドール・レトリーバーの特徴評価グラフ

しつけのしやすさ

ラブラドール・レトリーバーは、世界的に最も家庭犬として人気が高い犬種のひとつであり、その理由の大きな柱が「しつけのしやすさ」にあります。彼らは非常に賢く、学習意欲が強い犬で、特に人間と一緒に活動することから大きな喜びを感じます。そのため、飼い主の指示や意図を理解しようと積極的に耳を傾ける傾向があります。これは他の犬種と比較しても際立っており、初心者から経験豊富な飼い主まで幅広く飼いやすいとされるゆえんです。

もともとラブラドールはカナダのニューファンドランド島で漁師の手伝いをする犬として発展し、その後イギリスで猟犬として改良されました。人間の指示に従って水中に飛び込み、魚網の回収や撃ち落とされた水鳥を回収する仕事をこなしてきた歴史があるため、人と協力する姿勢が遺伝的に備わっています。これが現代においてもしつけの容易さにつながっているのです。

また、ラブラドールは食欲旺盛で、食べ物への関心が非常に高い犬として知られています。この特徴は、トレーニングにおいて大きな利点になります。ご褒美としておやつを用いると、彼らはすぐに学習しようと意欲を見せ、繰り返し練習することを苦にしません。加えて、褒められることにも敏感で、人からの賞賛やスキンシップを強い報酬として受け取ります。したがって、食べ物と褒め言葉をバランスよく活用することで、基本的な命令から高度な作業訓練までスムーズに身につけられる犬種です。

ただし、注意点も存在します。学習能力が高いがゆえに、良い習慣だけでなく悪い習慣も素早く覚えてしまう傾向があります。例えば、人に飛びつけばかまってもらえる、テーブルの上に前足をかければ食べ物がもらえる、といった行動を一度でも許してしまうと、それが強化されてしまいます。したがって、一貫性のあるしつけとルール作りが欠かせません。ラブラドールの素直さを最大限に活かすためには、家族全員が同じルールを守り、同じ対応を心がける必要があります。

また、しつけの過程で体罰や強い叱責を行うことは逆効果です。ラブラドールは本来、人を喜ばせたいという気持ちが強い犬なので、厳しい扱いを受けると萎縮し、本来の明るく積極的な性格が失われることがあります。ポジティブ強化を中心にしたトレーニングを徹底することで、ラブラドール本来の能力を引き出すことができます。

さらに、社会化期(生後2〜4か月頃)にしっかりと他の犬や人、さまざまな環境に触れさせておくことも重要です。ラブラドールは基本的にフレンドリーですが、経験不足だと過度に興奮したり、逆に臆病になってしまう場合があります。幼少期から計画的に社会化を行うことで、成犬になったときにも落ち着いた行動がとれるようになります。

実際、盲導犬や介助犬、警察犬など、ラブラドールは世界中で幅広い分野で活躍していますが、これは「しつけのしやすさ」が前提にあるからです。高度な訓練を必要とする役割において、ラブラドールの学習能力、協調性、そして人を信頼する性質は大いに発揮されています。家庭においても、基本的なしつけを丁寧に積み重ねれば、子どもや高齢者が一緒に暮らす場面でも安心できる頼もしいパートナーとなるでしょう。

まとめると、ラブラドール・レトリーバーはしつけのしやすさに関して非常に優れた犬種です。しかしその優秀さは、飼い主が適切な方法で関わり、ポジティブな経験を積ませることで初めて引き出されます。習得が早い分、飼い主側の責任も大きいといえるでしょう。正しい方向に導くことができれば、ラブラドールは家庭の中で最も理想的なパートナーとして輝いてくれるはずです。

気性の穏やかさ・性格

ラブラドール・レトリーバーは、世界中で「家庭犬の理想形」と称されるほど、その気質と性格の安定性に優れた犬種です。彼らは穏やかで人懐っこく、誰に対してもフレンドリーに接する傾向があります。この性格の柔らかさは、長年にわたり盲導犬や介助犬として選ばれてきた大きな理由の一つでもあります。

ラブラドールの特徴的な性格を一言で表すと「人との絆を最も大切にする犬」といえるでしょう。彼らは飼い主や家族と過ごすことに強い幸福を感じ、孤独を好みません。そのため、常に人と関わりを持ちたがり、他の犬種に比べても「家族の一員」としての意識が非常に高いのです。この愛情深さが、ラブラドールの穏やかな気性を形成している根本的な要素です。

また、ラブラドールは攻撃性が極めて低い犬種としても知られています。初めて会う人や犬に対しても比較的すぐに打ち解け、警戒心を見せるよりも好奇心を前に出すことが多いのが特徴です。もちろん、番犬としてはあまり向いていませんが、その分家庭内では安心して子どもや高齢者と触れ合うことができます。多くの場合、彼らは強いストレスや脅威を感じても過剰に攻撃的な反応を示さず、落ち着いて行動する力を持っています。

しかし、ラブラドールの性格を理解するうえで重要なのは、彼らの「陽気さ」と「活発さ」も強調すべき点です。穏やかな犬ではありますが、決しておとなしいだけの犬ではありません。むしろ非常にエネルギッシュで遊び好きな一面があり、特に若い頃は「いたずら好き」と形容されることも多いです。飼い主にボール遊びや水遊びをせがんだり、好奇心のままにいろいろなものに鼻を突っ込んだりする行動は、彼らの明るい性格の現れです。このようなエネルギッシュさをうまく発散させることで、ラブラドールの持つ穏やかさと落ち着きがより引き出されます。

ラブラドールはまた、感情表現が豊かで、飼い主の気持ちに敏感に反応します。嬉しいときには全身で喜びを表現し、家族が落ち込んでいると寄り添うようにそばにいることもあります。この共感性の高さは、単なる従順さとは異なり、人間社会に深く適応できる能力を示しています。心理的なサポートが求められるセラピードッグにラブラドールが多く用いられているのも、この資質によるものです。

一方で、ラブラドールの「人好き」な性格が裏目に出ることもあります。人に構ってもらうことを強く望むため、長時間の留守番が苦手な犬が多いのです。十分な愛情や関わりを持たない環境では、寂しさから問題行動を起こす可能性があります。家具を噛んだり、無駄吠えをしたりするのも、不満や孤独感の表れであることが少なくありません。ラブラドールが本来持つ穏やかさを維持するには、飼い主が積極的に時間を共有し、精神的な充足を与えることが欠かせません。

ラブラドールの気性の穏やかさは、成長とともに安定していく傾向があります。幼犬期は非常に活発で落ち着きがないように見えることもありますが、適切なしつけと運動を重ねることで、成犬になるにつれて落ち着きを増し、安定した性格が前面に出てきます。老犬期に入るとさらに穏やかさが強調され、まさに家族の「癒やし役」としての存在感を放つでしょう。

総じて、ラブラドール・レトリーバーは気性が穏やかで、人と共にあることを最大の喜びとする犬種です。その性格は、家庭犬としての理想像に近いといえます。ただし、その温厚さや優しさを長く維持するためには、十分な愛情、適度な運動、そして人との豊かな交流が欠かせません。飼い主がラブラドールの性格に合った生活環境を整えれば、彼らは生涯にわたって信頼できるパートナーとなってくれるでしょう。

病気・けがへの強さ・寿命

ラブラドール・レトリーバーは、中型から大型に分類される犬種の中では比較的健康で丈夫な犬として知られています。活発でエネルギッシュな性格を持ち、もともと作業犬として人と共に活動してきた歴史があるため、基礎体力はしっかり備わっています。しかし、人気犬種ゆえに繁殖が盛んに行われてきた経緯から、特定の遺伝性疾患や生活習慣に起因する病気のリスクが少なくないのも事実です。

一般的な寿命は10〜14歳とされ、犬の大型犬種の中ではやや長めの寿命を持ちます。もちろん、個体差や飼育環境によって変動しますが、適切な食事管理、運動、定期的な健康チェックを行うことで平均寿命を超えて長生きするラブラドールも多くいます。

ラブラドールがかかりやすい病気の代表格として挙げられるのは、まず「股関節形成不全」と「肘関節形成不全」です。これらは遺伝的要因が大きく、骨や関節が正しく発達せず、歩行困難や痛みを伴う疾患です。成長期に過度な運動や栄養過多があると悪化しやすく、早期からの体重管理と運動の調整が重要となります。ブリーダーの段階で適切な検査を行っているかどうかも大きなポイントです。

次に注意すべきは「肥満」です。ラブラドールは非常に食欲旺盛で、食べ物を前にすると底なしのように欲しがる傾向があります。この性質はしつけやトレーニングには有利に働きますが、飼い主が甘やかしてしまうとすぐに肥満へ直結します。肥満は糖尿病、関節疾患、心臓病など多くの二次的疾患を引き起こす原因となり、寿命を縮める要因になります。特にラブラドールは骨格がしっかりしているため、少し太っただけでも関節や腰への負担が大きくなる点に注意が必要です。

また、ラブラドールには「進行性網膜萎縮症(PRA)」や「白内障」などの眼疾患も一定数見られます。これらは視力の低下や失明につながる可能性があるため、定期的な眼科検診を受けることが推奨されます。特に進行性網膜萎縮症は遺伝性疾患であるため、繁殖時に遺伝子検査を実施しているかどうかが予防の第一歩です。

さらに、皮膚疾患にも注意が必要です。ラブラドールは被毛が密で防水性に優れている反面、通気性が悪く、湿気がこもりやすい特徴があります。そのため、外耳炎や皮膚炎が発生しやすい傾向があります。特に耳は垂れ耳で蒸れやすく、こまめな掃除や乾燥が欠かせません。水遊びが大好きなラブラドールにとっては、泳いだ後に耳の中や被毛をしっかり乾かす習慣を持つことが、病気予防につながります。

老犬期に入ると「がん(特にリンパ腫や肥満細胞腫)」が発症するケースも珍しくありません。大型犬に多い傾向がありますが、早期発見と治療によって進行を遅らせることも可能です。そのため、シニア期に入ったら定期的な血液検査や画像診断を受け、早めに異常を察知することが大切です。

けがに関しては、ラブラドールは活発で運動量が多いため、捻挫や靱帯損傷といった運動器系のけがを負うことがあります。特に「前十字靭帯断裂」は肥満や急な運動によって発生しやすく、手術が必要になるケースもあります。日頃から無理のない運動を心がけ、体重管理を徹底することで予防が可能です。

まとめると、ラブラドール・レトリーバーは比較的健康で長寿な犬種ではありますが、股関節や肥満、眼疾患、皮膚病といった特有のリスクが存在します。飼い主が病気の特徴を理解し、生活習慣や環境に配慮することで、寿命を延ばし、質の高い生活を送らせることができます。日々のケアや定期健診を怠らず、健康管理を徹底することが、ラブラドールと長く幸せに暮らすための秘訣といえるでしょう。

他の犬や子どもとの同居しやすさ

ラブラドール・レトリーバーは、家庭犬として世界的に人気を誇る理由のひとつが「他の犬や子どもとの同居のしやすさ」にあります。もともと人間との協働作業を重視して改良されてきた犬種であり、基本的に社会性が高く、協調的な性格を持っています。そのため、家庭内での多頭飼いや小さな子どもとの生活においても、比較的安心して迎え入れられる犬種といえるでしょう。

まず子どもとの関係についてですが、ラブラドールは温厚で忍耐強い性格を持ち、子どもの行動に対しても寛容に接することができます。小さな子どもは犬の耳を引っ張ったり、思わず強く抱きついたりすることがありますが、多くのラブラドールは過剰に怒ったりせず、穏やかに受け止める傾向があります。この忍耐力は、盲導犬やセラピードッグに選ばれる資質にも通じており、家庭内で安心して子どもと過ごせる要因になっています。

ただし、注意点も存在します。ラブラドールは子どもが大好きで、一緒に遊ぶことを強く望みますが、その体格や力強さから思わぬ事故につながることがあります。特に成犬の若いラブラドールは活発で、はしゃぎすぎて体当たりをしてしまうと、小さな子どもは転倒してしまうことがあります。したがって、子どもと犬を一緒に遊ばせるときには、大人がそばについて見守ることが大切です。ラブラドール自身に悪気はなくても、体格差から事故が起こり得ることを理解しておく必要があります。

次に、他の犬との同居に関してですが、ラブラドールは犬同士の関わりにも比較的フレンドリーです。初対面の犬に対して攻撃性を示すことは少なく、むしろ興味を持って近づき、遊びを誘うことが多い犬種です。そのため、多頭飼育の家庭でも相性が合えばスムーズに同居が可能です。特に、ラブラドールは協調性が高く、相手の犬が多少気難しい性格であっても、自分から大きな争いを仕掛けることはあまりありません。

ただし、他の犬に対してあまりにフレンドリーすぎる面があるため、相手が神経質な犬種である場合には、最初から自由に接触させるのではなく、徐々に距離を縮めていく工夫が必要です。ラブラドールは「遊びたい」という気持ちが先走ってしまい、相手を追いかけすぎたり、しつこく匂いを嗅ぎすぎたりすることがあります。これが相手犬のストレスにつながる場合もあるため、飼い主がコントロールしながら関係を築かせることが重要です。

また、多頭飼いにおいては「食事」に関する管理が特に重要です。ラブラドールは食欲旺盛で、自分の餌を食べ終えると他の犬の餌に手を出してしまうことがあります。これが原因でトラブルに発展するケースもあるため、食事の時間は犬ごとにスペースを区切り、安心して食べられる環境を整えるのが理想です。

猫や小動物との同居についても触れておきましょう。ラブラドールは本来狩猟犬として育成されてきましたが、獲物を「回収する(レトリーブする)」ことに特化しており、獲物を仕留めるための攻撃性は強くありません。そのため、適切に慣らせば猫や小動物とも平和に共存できる可能性が高い犬種です。ただし、遊び好きな性格から追いかけてしまうこともあるため、初期の段階では十分な監督が必要です。

ラブラドールが他の犬や子どもと良好に暮らすためには、幼少期からの社会化が不可欠です。子犬の頃にさまざまな犬や人間と接し、良い経験を積ませることで、成長後のフレンドリーさと落ち着きがより確実なものになります。社会化が不十分な場合は、ラブラドールであっても過度な興奮や臆病さを示す可能性があるため、計画的に環境を整えることが求められます。

総合すると、ラブラドール・レトリーバーは他の犬や子どもとの同居が非常にしやすい犬種です。その友好的で寛容な性格は家庭犬として理想的ですが、体格の大きさや活発さゆえの注意点を理解し、大人が適切に管理することが重要です。しっかりとした社会化と日常の配慮さえ行えば、ラブラドールは家庭内で誰に対しても優しい存在として輝き、安心感と喜びを与えてくれることでしょう。

運動量の多さ

ラブラドール・レトリーバーは、家庭犬としての穏やかさで知られる一方、もともとは猟犬として活躍してきた歴史を持つ犬種です。そのため、非常に高い運動欲求とスタミナを備えており、飼育するうえで「運動量の多さ」を理解することは欠かせません。彼らは単なる散歩だけでは満足できないことが多く、体と頭の両方をバランスよく使わせてあげる必要があります。

成犬のラブラドールに必要とされる運動量は、1日あたりおおよそ2時間前後といわれています。これは単純に歩かせるだけでなく、走ったり遊んだりといった「質」の高い運動を含みます。特に若いラブラドールは非常にエネルギッシュで、長時間の活動にも耐えられる体力を持っています。そのため、散歩を短時間で済ませてしまうと、エネルギーが余り、いたずらや問題行動につながることも珍しくありません。

ラブラドールにとって理想的な運動のひとつは「水遊び」です。彼らは水に強い防水性の被毛を持ち、泳ぐことが得意です。もともと水鳥の回収作業を行ってきた歴史から、泳ぐことは本能的に好きな活動でもあります。安全な場所で水遊びを取り入れることは、ラブラドールの欲求を満たし、健康的な運動にもつながるため、とても効果的です。

また、「レトリーブ(物を取ってくる)」遊びもラブラドールに適した運動方法です。ボールやフリスビーを投げ、それを持ち帰らせる遊びは、体力の消費と知的刺激を同時に満たすことができます。ラブラドールは単純な繰り返しでも飽きにくく、遊びを通じて飼い主との絆を深めることも可能です。こうした遊びを取り入れることで、散歩だけでは消費しきれないエネルギーを効率的に発散できます。

ただし、ラブラドールは食欲旺盛で肥満になりやすい傾向があるため、適切な運動量は健康維持の観点からも不可欠です。肥満は関節疾患や心臓病のリスクを高めるため、日常的にしっかり体を動かすことが寿命を延ばすカギとなります。一方で、股関節形成不全などの遺伝性疾患に注意する必要もあります。成長期に過度な運動をさせると関節に負担をかけてしまうため、子犬の頃は無理のない範囲で、成犬になってから本格的な運動を取り入れるのが望ましいです。

精神面での充足もラブラドールにとって重要です。単なる体力発散だけでなく、知的な刺激が不足すると、破壊行動や過度な要求吠えといった行動が出ることがあります。そのため、散歩中にトレーニングを組み合わせたり、匂い探しゲームを取り入れたりすることが推奨されます。ラブラドールは学習意欲が高いため、頭を使う運動を取り入れることで、肉体的にも精神的にも満足度を高められます。

加えて、ラブラドールは社会的な動物であるため、他の犬や人と交流できる環境も望ましいです。ドッグランなどで自由に走らせる機会を与えると、ただ体を動かすだけでなく、他の犬との関わりを通じて社会性を維持する効果もあります。家庭犬としての穏やかさを保つためにも、こうした経験は欠かせません。

老犬期に入ると体力は次第に落ちてきますが、それでも運動は健康維持のために必要です。若い頃のように激しい運動は避けつつ、短時間でも毎日歩かせることで筋力や関節の健康を保てます。特にシニア期のラブラドールは体重増加しやすいため、無理のない範囲で継続的に運動を続けることが寿命を延ばす大きなポイントになります。

総合的に見ると、ラブラドール・レトリーバーは運動量が非常に多い犬種であり、家庭に迎える際はこの点を十分に理解する必要があります。散歩や遊びを怠れば、精神的にも肉体的にも不調をきたしやすくなりますが、逆に適度な運動を提供すれば、明るく落ち着いた性格を発揮し、家庭の中で理想的なパートナーとなってくれるでしょう。

体の特徴・被毛・毛色の特徴

ラブラドール・レトリーバーは、その均整の取れた体型と親しみやすい外見によって、多くの人々から「理想的な家庭犬」として愛されています。外見的な特徴は、単なる美しさだけでなく、彼らの歴史や役割に深く根ざした機能的なものであり、ラブラドールの身体的な造りを理解することで、彼らがどのように人と共に生きてきたかが見えてきます。

体高はオスでおよそ57〜62cm、メスで55〜60cm程度、体重は25〜36kg前後が標準とされています。中型犬と大型犬の中間に位置し、筋肉質でがっしりとした体つきをしています。その骨格は力強く、作業犬として長時間の活動に耐えられるよう設計されているのが特徴です。胸は広く深く、心肺機能に優れており、持久力のある運動が可能です。四肢は真っ直ぐで頑丈に発達しており、活発な運動や水中での泳ぎにも適しています。

ラブラドールの最大の特徴のひとつは「オッターテイル」と呼ばれる太くて力強い尾です。この尾は水中で泳ぐ際に舵の役割を果たし、方向転換やバランスをとるのに役立ちます。陸上での動きにおいても尾を高く掲げて振る姿は、彼らの明るい性格を象徴しています。

被毛は二重構造になっており、上毛は短くて密生しており、水や泥をはじく防水性を持ちます。その下には柔らかく保温性のある下毛(アンダーコート)があり、寒冷地でも活動できるようになっています。この被毛は彼らが水中作業に従事してきた歴史を物語るものであり、雨の日や水辺でもへっちゃらな理由となっています。ただし、換毛期には大量の毛が抜けるため、定期的なブラッシングが欠かせません。

毛色はラブラドールを語るうえで大変重要な特徴のひとつです。公認されている毛色は「ブラック(黒)」「イエロー(クリームからフォックスレッドまで幅広い濃淡を含む)」「チョコレート(濃淡のある茶色)」の3色です。いずれも単色で、胸や足にわずかな白斑が見られることがありますが、それは許容範囲とされています。
・ブラックは最も伝統的で、精悍かつ引き締まった印象を与えます。
・イエローは個体差が大きく、ほぼ白に近いクリームから赤みの強いフォックスレッドまでバリエーション豊かで、明るく親しみやすい印象を与えます。
・チョコレートは濃いココア色から明るめの茶色まであり、やや珍しいため特に人気があります。

これらの毛色の違いは性格や健康面に直接影響するものではありませんが、繁殖の歴史や人気の傾向に影響を与えてきました。たとえば、盲導犬や介助犬としてはイエローが多く用いられてきましたが、これは明るい毛色のほうが視認性が高く、人との生活において安全性が高いと考えられてきたからです。一方で、ブラックは伝統的な狩猟犬としての評価が高く、チョコレートは愛玩犬としての需要が伸びてきました。

顔つきもラブラドールの特徴的な要素です。広い額と優しい表情を持つ瞳は「愛されやすい犬」としてのイメージを確立しています。目の色はブラウンかヘーゼルで、温かみのある印象を与えます。耳は中くらいの大きさで、頭部のやや後方に位置して垂れ下がっています。これらの特徴が合わさることで、ラブラドール特有の「人懐っこい雰囲気」が生まれています。

身体的な頑丈さと被毛の機能性は、ラブラドールが作業犬として長年活躍してきた理由を裏付けています。悪天候や寒冷地でも活動できる耐久性、そして人に親しみやすい見た目と温和な表情が組み合わさり、今日の「家庭犬としての理想像」が形作られているのです。

まとめると、ラブラドール・レトリーバーは筋肉質で力強い体つきと、機能的な被毛、そして3種類の毛色によって特徴づけられる犬種です。その外見は単に美しいだけでなく、作業犬として培われてきた実用性を反映したものでもあります。これらの特徴を理解することは、ラブラドールの魅力をより深く味わい、適切にケアしていくうえで欠かせない視点といえるでしょう。

里親・ブリーダー・値段

ラブラドール・レトリーバーは、世界的に人気のある犬種であるため、日本国内でも入手の機会は多くあります。ただし、健康で性格の安定した個体を迎えるためには、「どこから迎えるか」という選択が非常に重要になります。ここでは里親制度、ブリーダーからの購入、そして値段の相場について解説していきます。

まず「里親として迎える」ケースについてです。ラブラドールは家庭犬として広く飼われているため、保護団体や動物愛護センターなどに収容される個体も少なくありません。理由は飼い主の事情(引っ越しや経済的理由、老化による飼育困難など)が多く、犬自体に問題があるケースは意外と少ないのが特徴です。特にラブラドールは穏やかで人懐っこい性格を持つため、保護犬であっても新しい環境に順応しやすい傾向があります。里親制度を利用する場合は、譲渡前に性格や健康状態をよく確認し、自分の生活環境に合うかどうかを見極めることが大切です。また、里親募集では成犬やシニア犬が多いため、「子犬から育てたい」と考えている人よりも「落ち着いた成犬を迎えたい」と希望する家庭に向いているといえるでしょう。

一方で、「ブリーダーから子犬を迎える」方法も一般的です。ラブラドールは人気犬種のため、ブリーダーも多数存在しますが、中には健康や性格よりも数を重視した無理な繁殖を行う業者も存在します。そのため、信頼できるブリーダーを選ぶことが非常に重要です。良質なブリーダーは、股関節形成不全や進行性網膜萎縮症などの遺伝性疾患について親犬の健康検査を行い、適切な交配を心がけています。また、子犬の社会化を早期から行い、人に慣れた状態で引き渡してくれる点も優良なブリーダーの特徴です。見学を受け入れているか、飼育環境が清潔で犬にストレスが少ないかどうかも、判断材料になります。

気になる値段についてですが、日本におけるラブラドール・レトリーバーの子犬の相場はおおよそ20万〜40万円程度とされています。ただし、血統や毛色、親犬の実績によって価格は大きく変動します。たとえば、ショードッグとして優れた成績を収めている血統や、特に人気のあるチョコレートカラーの子犬などは40万円を超えることも珍しくありません。一方で、ペットタイプとして家庭に迎える場合は20万円前後で譲渡されることもあります。

里親制度を利用する場合は基本的に譲渡費用のみ(医療費やワクチン代などを含めて数万円程度)がかかりますが、ブリーダーやペットショップから迎える場合は子犬の値段に加え、ワクチン接種、マイクロチップ登録、ペット保険、生活用品一式などの初期費用が必要です。総額としては数十万円単位になるのが一般的です。

また、ラブラドールは中型〜大型犬であるため、迎えた後の飼育コストも小型犬に比べて高くなる点を考慮する必要があります。食費、医療費、日用品に加え、しつけや運動のためにトレーニングやドッグランの利用を検討する家庭も多く、年間で数十万円程度の維持費がかかると見込むのが現実的です。初期費用だけでなく、長期的な費用を見越した計画が欠かせません。

まとめると、ラブラドール・レトリーバーを迎える方法は里親かブリーダーが中心となります。里親の場合は低コストで迎えられる一方、年齢や性格がすでに固まっている犬が多い点を理解する必要があります。ブリーダーから迎える場合は健康面や社会化に配慮された子犬を得られるメリットがある反面、費用は高額になります。いずれの場合も重要なのは「犬の一生に責任を持てるかどうか」であり、その視点を忘れなければ、ラブラドールは必ず家庭に大きな喜びと温かさをもたらしてくれるでしょう。

ラブラドール・レトリーバーの動画集

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ラブラドール・レトリーバーの動画 その1

ラブラドール・レトリーバーの動画 その2

ラブラドール・レトリーバーの動画 その3

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